俺は全く霊感もないし現実主義だから、自分で体験し見た物しか信じない。
だから宇宙人も霊的な物も、占いだって信じていない。
でも、カーチャンとばーちゃん(親子)は昔から霊感が強いらしく、様々な体験を話してくれた。
俺は怖かったけれど、それでも心の何処かで「勘違い乙」とか思っている可愛くないガキだった。
前置きはこれくらいにして、俺が小学高学年だったある日の事。
実家は県庁所在地の栄えた所だったが、所詮地方都市。
数十分車を走らせれば山菜豊かな山へと行ける。
父、母、弟、俺、母の弟(つまり叔父)の5人は、恒例のウドやワラビ取りへと出掛けた。
山に着き、俺以外の全員が山菜採りに山の奥へと入っていった。
俺は酔いとデカイ百足に怯えリタイア。
車でボケーとカセットテープを聞いて待っていた。
数分して、母が顔面蒼白で戻ってきた。
そして俺に一言。
母:「嫌な気配を感じた。ここは危険だ」
俺:「何かあったの?」
母:「無いけど、悪い予感がして進む事が出来なかった」
母の尋常じゃない姿に驚いて、俺は取り敢えず大声で山に入った皆を呼んだ。
運良くなのか、粗方採られていた山菜、皆は場所代えの為に近くまで戻ってきていた。
母の悪い予感に誰も真面目に取り合わなかった。
俺でさえ、ただ母に驚いただけだったから。
しかし、それからおよそ一週間後。
母の悪い予感は本物だったと、嫌でも認める事となった。
夕飯が終わった後のローカルニュース番組。
あの日出掛けた山で、他殺体が発見された。
実話です。