竹田の賭け

カテゴリー「心霊・幽霊」

「出る」と評判の廃屋で、俺たちグループの中でもいちばん気が強く、心霊現象完全否定派である竹田が、夜に一人で肝試しをすることになった。
他愛ない雑談から、いつのまにかそういう話になってしまったのだ。

「やめといた方がいいって」と俺たち四人は引き留めたが、竹田は鼻で笑い、「じゃあ、必ず約束守れよ。俺が一人きりで朝まであそこで過ごせたら、お前らは俺に二千円ずつ払う。もし俺が逃げ出したりズルをしたら、俺がお前ら全員に二千円ずつ払う。証拠のハンディカムはちゃんと回しとくから」と。

竹田:『・・・・・・っと、位置はこのへんでいいか。映ってるよな?つーわけで、一人肝試しのはじまりはじまり。拍手~。ハァ、朝までヒマだね、しかしこれ。』

竹田:『携帯もノートパソコンも駄目とは、自分で言いだしたものの、チト厳しい縛りだったかな。まあいいや。』

竹田:『さて、と。このままボーッとしてるのもなんだからさ、ひとつ俺が、そう、霊なんか一切信じてないこの俺が、とっておきの『怖い話』をしてやるよ。』

竹田:『お前らのこと。お前たち『四人』の話。・・・・・・お前たち、まだ気づいていないのか?違うだろ。本当はとっくに気づいてて、なのに知らないふりをしてるだけなんだよな。・・・・・・なあ、正直に言うよ。俺はいま、怖くてたまらない。この廃屋がじゃない。お前たちが、だ。お前たちの視線が。いま、こうしてお前たち『四人』に、俺を見られていることが。怖くて怖くて死にそうだ。ずっと前から。』

竹田:『・・・・・・・・・・・・』

竹田:『どうやら賭けは俺の負けだな。ちゃんと払うよ、六千円は』

結局、竹田は俺たちに金を払うことはなかった・・・。
ハンディカムの映像だけを残し、あの夜に廃屋から出たあと、突然失踪したから。
行方はいまだに知れない。

ブログランキング参加中!

鵺速では、以下のブログランキングに参加しています。

当サイトを気に入って頂けたり、体験談を読んでビビった時にポチってもらえるとサイト更新の励みになります!