小さな虫が全身を這っている

カテゴリー「心霊・幽霊」

中学の時に沖縄戦の勉強で課外実習っていう中学の近くにあったガマ(防空壕)に行く授業があった。
バスで一学年ずつ別の場所をまわってくんだけど、その時自分達は一年生だったから比較的学校に近めの場所にバスで行くことに。
学校から数十分、バスの中で沖縄戦の話を聞かされ、どんより重いムードでガマに到着。
バスから降りて、梅雨明けでジメジメとクッソ暑い中、上下長袖ジャージで上がり下がりの激しい砂利道を汗をかきながら必死に歩く。

歩くのが遅かった私と虫が怖いと騒ぐ女子勢、気分の悪い数人は列の一番後ろで保険医と一緒に駄弁りながらゆっくりガマに向かってた。

ガマは周囲を背の高い木に囲まれた、急な坂にあった。
壁も天井も触るのを躊躇うくらいにゴツゴツとした岩で、人工的な物じゃなくて自然な穴。
転んだら大怪我するぞーって体育の先生が言ってたのをなんとなく覚えてる。

ガマに到着したら、前の人の肩を掴んで数列でガマの中に入る。
ガマの中は明かりは先生達しか持ってなくて薄暗いし、空気も篭ってて変な虫も飛んでた。
一学年が全員入るんだからそれなりに大きくて、しかも木に囲まれてるから光も入ってこない。
入り口でもう一寸先は闇、って感じなのに、奥に入ったらどうなるんだよ、って感じだった。

そんなガマの中でしゃがまされ、戦時中はアメリカ兵に見つからないように蝋燭も無しで暮らしてたって長い長い説明を聞いてたら、途中で目眩と耳鳴りに襲われた。
なんか息苦しいし、両目が根性焼きされたみたいに熱い・・・。
痛くて痛くて、助けて!って叫びたいのに「かひっ、ひーっ、ひぎっ、ひーっ」って変な呼吸音しか出ない。

そしたら今度はジャージの尻の部分と抱えてる足の途中まで濡れてる感覚がして、真夏に生ゴミを数日放置したような、とにかく吐き気を催す強烈な臭いがすぐ近くでした。

このガマからすぐにでないとヤバイって分かってるのに、足は動かない、声も出ない。
隣に座ってる女子に助けを求めようと顔を動かしても、全く気付かない。

どうしたらいいのかわからなくて焦ってたら、自分達生徒とか先生達の声とは明らかに違う、怒鳴ってるような声がバーッて聞こえて情けないけど怖くて泣いた。
肩とか頭とか、いろんな所が重くて熱くて、痛いのに痒いし、なんか小さな虫が全身を這っているようなそんな感じがした。

頭の許容範囲を超えるその感覚にほぼ発狂しかけて、「もう駄目だ、殺してくれ!」って思った瞬間、後ろの男子に思い切り頭を殴られた。
そのお陰かは知らないが虫が這ってるような感覚も体が焼けるような熱さも吹っ飛んでって、訳がわからないままそいつに引っ張られてガマから出された。
足腰に力が入らず道にへたり込んでたら保険医にビニール袋を渡されて、それにゲーゲー吐いた。

暫くして落ち着いて、自分を外に引っ張り出してくれた男子にお礼言って、ガマから生徒がゾロゾロ出てくのを見送ってからやっと先生達が集まってきた。
方言で話してたから所々分かんなかったけど、あの現象は戦時中の方々の霊によるもので、それに運悪く当たったのは自分含めて4~5人いたらしい。
一番酷かったのはガマの奥の方にいたやつで、バスに乗るときに顔を見たけどもう別人かと思うくらい窶れてた。

霊感とかが関係あるのかは不明。
座ってた場所とか性別もランダムで、とにかくみんな氏ぬくらいの痛みを味わったことと、自分ではわからなかったけどその痛みを感じてる間方言で何かを言っていたとか。
今までもこんな事はあったらしく、年長の先生は笑いながら「戦争の痛みを体験できて良かったな~」とか言ってたけど、洒落にならないくらい痛かったし下手したら廃人になってたんじゃないかと思う。

取り敢えず塩を頭からかぶって、心配性なやつはマブイグミをしてから家に帰った。
風呂に入るときに両足に変なギザギザの痕があったけど数日で消えたし、自分はなんともなかったから偶然霊と合わさったのかな?と思うことにしてる。

一番下の弟がこの課外実習に行ってから第二次大戦の資料館とかに行きたがったり、じいちゃん達と行ったヒメユリの塔で吐いたり、戦死者の名前を刻んだ岩を必氏に見て回って号泣したりしてるのを見て思い出したからカキコ。
実害が無いからユタに連れて行くべきか迷ってる。

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