小1の頃から俺ん家の近所は当時の友達曰く、霊が出る場所が数多くあると評判だった。
友達Y崎やK田(こいつらは男)はそういうのが好き、というか見えるらしく、俺の友人R帝(女)やクラスメート(野郎が大半)を誘って夜遅くその場所に行っては、次の日から「霊が出たー」「お化けが出たー」の話で持ちきりになったりした。
それでYが俺を誘いに来た事が何度かあったんだけど、その時だけは決まって何も起こらない。
逆にRが行く時は必ず何かが起こるらしかった。
ただ俺とRが同時に居ても何も起こらない。
その時は俺に霊感が無くてRの霊感が強いという事で納めてた。
それで中2の時再びYとKが久々に肝試ししようぜ!という事でRと小学生の同級生何人かで俺ん家の裏にある山に行った。
俺はめんどいからパスしてたんだが、突然Yから電話掛けて来て慌てながら「早く来いマジで!出たやばい!!!」と狂いながら喋った。
「Rが・・・・!」までしか聞き取れなかったが、多分Rが霊か何かに襲われたんだろうと仮定。
親も仕事で遅いから家に居ないし、場所もすぐ近くだ。
俺にとっては初の霊体験になるかもしれないでちょっと気分高まって現場に行ってみたんだ。
すると俺が山の麓に来た時点で既にRの発狂した声や、YやK達の叫び声が聞こえてて俺も山の中に向かった。
すぐにY達と合流し話を聞くと「Rが山に落ちてた木槌と鍋の蓋を拾った瞬間、バケモノみたいに狂いだして追い掛けてきたから思わず逃げた」という。
「物静かで御淑やかな女子」のイメージが一気に崩れるくらい恐ろしい顔してたらしい。
でも俺が来た途端にRは狂いが止みずっと泣いていた。
結局俺はその日も霊体験に立ち会う事は出来ず全員とっとと帰宅。
次の休日にYが「良い霊媒師を知ってる」と、RやK達と俺と連れてその霊媒師とやらの元に向かった。
曰く独特の格好付けた言い回しと異様なまでの的中率のおっさんらしいが、そんな人どこで知ったのかとその人に聞いたら「汝最も妖が好み亡が欲する軟の身。妖宿す物引き寄せる如き。一人なら日没時には床に帰るべし」と返ってきた。
すると次にその人は俺に目を向けて「汝最も妖が恐れ亡が逃れる邪の身。力めば天を滅す故向けるもの誤るべからず。」とよくわからん事を述べる。
翻訳が無いとよくわからなかったが、つまりもう肝試しとかやめろという事だと思う。
その後その山には、俺はよく夜散歩に行くけどY達は二度と行かなくなっている。
ただ心霊スポット巡りは未だに好きらしく、たまにそういう話をメールで送ってきたりするが、未だに今回の山で起きた事以上に恐ろしい体験はしていないそうだ。