家内は子供のときから人に見えないものが見えるそうで、そんな家内と一緒の暮らすようになってからの話。
僕は子供に好かれるたちで、仕事も教育関係で働いています。
その日も仕事が終わり、夜の遊歩道を歩いていました。
人は誰もおらず、田舎なので音さえしません。
すると、急に右脚に何かがぶつかる感触を覚えました。
もともと腰があまりよくないので、また腰痛が出たかと思い嫌な気持ちになります。
仕方がないのでうまく動かない足を引きずりながら家まで歩きます。
するとアパートに着き、ドアを開けたとたん「あんた、なに子供つれて来てるのよ」と、食事の支度をしていた家内が振り向きざまに言いました。
僕は慌てて振り向きましたが、誰もいません。
「脚にしがみついてるよ。」
特に驚くでもなく家内は食事の支度にもどります。
途方にくれていると、「別に悪い子じゃないから、家にあげてあげればいいよ」と、家内がそういった瞬間、右脚がすっと軽くなりました。
その後は特に何事もなく食事をし、風呂に入り、そしてベッドに横になりました。
「不思議なことってあるんだね。まあ、何もなかったからいいか。」
霊など見えない僕は怖かった思いを振り払うつもりで言いました。
「まだ、そこにいるよ。」
雑誌を読んでいた家内が指さす方を見ると、窓から長く垂らしてあるカーテンが子供の形にふくらんでいました。
冷静だった家内にびっくりもした話でした。