知人は驚きの余り絶句した

数ヶ月前に知人から聞いた話。
その知人とは仕事で数日間だけ一緒に仕事した仲なんだが、休憩中に怖い話の話題になってその場にいた数人で実際体験した怖い話を話していく事になった。

その知人は話す前は「そんな怖い体験とかしたことないよー」と言っていたが周りが話すにつれて思い出したので話す、と言う感じだった。

その知人が20歳くらいの頃、今から10年近く前の話。
友人と2人ですることもなく家でダラダラしていたがつまらないのでドライブでも行くか、と知人とその知人の友人の2人で8時頃ドライブに家を出た。
そうして2時間ほど車を走らせて山の峠道を走っていた頃、急に霧が出てきて視界が悪くなり自分たちがいる位置が分からなくなってしまった。

ラジオも届かず困ったがそのまま止まっていても埒が明かないので事故らないようにゆっくり車を進めることにした。
15分ほど車を走らせると目の前にトンネルが見えたきた。

そのトンネルは中はライトはなく真っ暗で、入り口だけが車道の明かりで見えるというなんとも薄気味悪いものだったらしい。
その様相を見て知人と友人は口々に「うわ、こんなとこ通りたくねぇよ」とか「いやだなぁ」とか言いながらも仕方なくそのトンネルに入っていった。

トンネルの中は暗すぎて車のライトを当てていても壁すら薄暗かったらしい。
おまけに車道は舗装こそされてはいるが本当に申し訳程度のもので車は徐行してるにも関わらずグラグラとゆれながら走っていた。

「マジで怖ぇな」とビビる友人に知人は脅かすつもりでワザと車を止めてエンジンを切りライトを消した。
すると友人は「テメェビビらせるんじゃねぇよ!」半ばマジにキレれながら発車を促した。

「悪い悪い」と笑いながら車のエンジンをかけてライトつけた瞬間、車がバンバンと音を立てながら揺れ始めたのだ。
地震にしたら震度6くらいはあるんじゃないかと思うくらいに車は揺れ知人と友人は二人で絶叫した。

さらにさっきまで無音だったラジオが入りノイズ音が車内に響いた。
パニックになった友人はガチャガチャとラジオいじり消そうとしたが全く効果がなく音量が次第に大きくなっていった。

知人も一瞬パニックになったが我にかえり車のアクセルを踏むと車を発車させた。
しかし車は走る車道とは関係なくまだ揺れていてラジオはノイズが晴れ始めて次第に「たすけて」という声が聞き取れるくらいになっていた。

友人が「死にたくない!」と叫ぶと真っ暗トンネルから抜け、普通の峠道に出た。
車の揺れやラジオのノイズは消えて一瞬で静かな夜の山の景色の一部になった。
友人の顔を見ると涙や鼻水でぐちゃぐちゃになっていて、お互い顔を見合わせ目で会話して「とりあえず早くここから離れよう」ということにした。

しばらく進んで10分ほどすると峠から降りて畑が見えはじめてコンビニの明かりを見つけたのでそこに止まることにした。
「さっきのはなんだったんだろうな」と車の中でタバコ吸い始めるとパトカーのサイレンが聞こえてきた。

1台2台と通過していき3台目のパトカーが知人の車の横につけてきた。
警官が降りてきた話しかけてきて「おにいさんコレなんだい?」と言われたが全く訳が分からない。
怪訝な顔で車体の横のあたりを見ているものだから知人は身を乗り出して車体を確認した。
知人は驚きの余り絶句した。
自分の白い車体の横には赤い手形がいくつも付いていた。

そうして尋ねてきた警官にこれまでの経緯を説明すると警官は困惑の表情で話した。
「おにいさん達が通ってきたトンネルね、丁度今通報が入って死体が3ツ見つかったんだよ」と「しかしそのトンネル最近作り直したばっかでライトや道も新しいハズなんだよねぇ」とさらに続けた。

知人は呆気に取られいたが、ふと気がついた。
警官の腕時計は午前1時を過ぎたところ指していたのだ。

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