閉まらずのトイレ

カテゴリー「心霊・幽霊」

父が通っていた中学校の話。

その中学校の男子トイレには、ひとつだけ使用不可能な個室トイレがありました。
別にいわくつきというわけではなく、ただ単に故障していただけなんでしょうが、そのトイレは『開かずのトイレ』ならぬ『閉まらずのトイレ』と呼ばれていました。

誰も使わなかったので鍵をかけられることがなかったために、そんな名前が付けられたそうです。

ある日の休み時間、父のクラスメートがクラスに入ってくるなり「閉まらずのトイレに人が入っている!!」と言ってきました。

そのトイレが故障していることはみんな知っていたので、面白がって父と友人数人で見に行くことになりました。
行ってみると確かにトイレのドアが閉まっていました。

みんなで「ここでしても流せねーよwwwwwwww」「コイツ誰だろう?」

みたいな話をしていると、鍵が開いて中から人が出てきました。

その恰好が真夏にもかかわらず、帽子、コート、手袋、ズボン、マフラーの全身黒づくめで、物凄い目でギロッと睨んだ後、トイレを出て行きました。

みんなで「誰だ?」みたいな話をしていると、一人だけ様子がおかしい奴がいました。

そいつは、最初に『閉まらずのトイレに人が入っている』と言っていた奴です。
どうしたのかと聞いてみると、彼は震えながら話し始めました。

実は、あのトイレには誰かがいるはずがない、と。
彼はみんなをからかってやろうと思って、閉まらずのトイレの内側から鍵をかけて、トイレの壁を登り隣の個室から出たそうです。

では、一体あの個室から出てきたのは誰だったのでしょうか?
その後、しばらくしてそのトイレの鏡が外されたそうです。

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