カンボジアのアンコールワット周辺での話。
ややマイナーな遺跡で、疲れてたから、遺跡の上に座り休んでいた。
そこは、あまり観光客はいなかったな。
日本語ですみませんとか言われて起こされた。
おっさんだった。
その人曰く、仕事でカンボジアにいるんだけど、日本の身内に手紙出したいから、この手紙日本に帰ったら投函してくれ、とのこと。
そんなのカンボジアからでも出せるじゃんと不審に思ったけど、感じのよさげな人だったから、まあ、カンボジアの話聞こうと思って、その手紙受け取ったよ。
おっさんとはシェムリアプの町に戻って飯食った。
帰国後、切手買って手紙投函した。
切手代は飯おごってもらったから俺が出した。
おっさんは物知りで、クメール人の悲しい歴史とかの話を聞いた。
手紙出すとき、一応俺の住所も書いといた。
数日して、おっさんの身内の方から連絡あった。
名前は言えない。
おっさんは、とうの昔に、現地で事故で亡くなっていた。
手紙は生前のらしい。
身内の方に説明を求められたが、返信で、俺の見たことをありのまま書いた。
それきり身内の方から連絡はない。
怖い話かわからん。
あのおっさんが、死んだという人とは別人で、なんらかの訳があってその名を名乗ってただけなのかもしれん。
でも、安易に知らない人から頼まれ事は受けないほうがいいな。