いち早くそこから去りたかった

友達とドライブに行った時の事です。
あちこちを回って夜になり、それでも何となく帰る気がしなかったので適当に車を走らせていました。

帰る気はしなくても運転の疲れがあったのでどこかで休憩しようというような話をしていたと思います。

近くに空地があるということで、車を停めて話すくらいならと思い行きました。

車を停めてしばらくは車内で話をしていましたが、空気が籠もって気分が悪くなったため少し外に出て歩くことにしました。

しばらく歩きながら話していてふと妙なモノを感じました。
誰かの視線のような呼びかけのようなものです。

普段はあまり気にしないようにしているのですが、あの時は何故かその存在に気付かなければいけないような気がしてしきりに周囲を見渡していました。

ふと林の所を見た時、見えはしないのですが「そこにいる!」と感じました。
と、その時でした。

突然右耳にだけ「ごぉぉおお」という風の音が聞こえ始めました。
左耳や他の体の部位には風はさほど強く感じられないのに、右耳には暴風のような音が聞こえたのです。

それと同時に心臓がバクバクして「早くこの場を去らなければいけない」という気持ちが湧き出てくるんです。

私は友達に「そろそろ帰ろう」と声をかけ車に戻りました。
車に戻る道の間もしばらくはその音が続いていましたが、空地に着いた頃にはすっかり無くなっていました。

その出来事からしばらく経って従兄弟達と集まって話をしていた時のことです。

従兄弟は霊感が強く、勤め先でもよく見てしまうという話をしていたので私はあの日あった出来事を話しました。

従兄弟は最後まで聞いた後に
「ふーん、でも見えなくてよかったね」と言いました。

私がどうしてと尋ねると従兄弟は「片耳だけ聞こえ方違ったでしょ、もの凄い形相で叫んでるんだよ、それ。耳元で」と言われました。

それ以来あの場所には近づいていません。

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