これは一年くらい前の話しでしょうか・・・。
僕は仕事で車に乗る事が多いんです。
車に乗ってる時は何もする事がないので、すれ違う車を観察したりするんです。
まぁ嫌な趣味ですけど・・・。
ある日の事・・・。
いつもの様にすれ違う車を見ていました。
車は4駆で若い男の人がスーツを着て携帯でニコニコしながら運転していました。
その助手席に着物を着たおばあさんが乗っていたのです。
最初は変な組み合わせだなって思っただけだったんですが、だんだん近づいて来るにつれてそのおばあさんの視線が僕を見ている事に気づいたんです。
ホントに嫌な視線でした。
冷たい目をしていて、顔色は真っ青。
すれ違うまでじっと僕を見たままでした。
僕はその日1日その眼と顔が忘れられずあまり眠る事すら出来ませんでした。
次の日、時間は違うのですがまた同じ道を通っていて、いつもの様にすれ違う車を見ていると・・・昨日のおばあさんが違う車に乗っていたのです。
遠くだったのですが、また着物を着てこっちを見ているのがわかるのです。
目線を反らす事無くこっちを見ていました。
すれ違う瞬間まで。
また次の日も、その次の日も・・・。
2週間くらい続いたでしょうか。
その日はすれ違う車でなく普通にまっすぐ前を見ていたのです。
すると、道に着物を着た人が立っている・・・。
またそのお婆さんだったのです・・・。
僕はなるべく見ないように通り過ぎて行きました。
その次の日、またそこの道を通っていると今まで無かった花が置いてありました。
まだ奇麗に咲いていたので誰かがその日か前の日に置いたんでしょう。
その日からお婆さんは見なくなりました・・・。
僕はそのお婆さんは寂しかったのかな?と思っているのですが・・・・。
もうすぐちょうど1年になります。
まだ花は置いてありません。