弔ってあの世に送る儀式

カテゴリー「心霊・幽霊」

ちょっと長くなるけど勘弁ねっ。

49日の法要ってのがあるよね。
死者の魂が49日目まではこの世に留まっているので、それを弔ってあの世に送る儀式。
それに関係のある話なのだが・・・。

俺が東京に来て2年くらいが過ぎたころ、実家からおじいちゃんが亡くなったと連絡があった。
東京に来る直前ぐらいにはかなりボケぎみで家族を誰だか認識出来ないような状態だったので、「・・・もう長くは無いだろうなぁ」と思っていたが、それでもやはり急なことなのでびっくりしたのを覚えている。

連絡のあった当日がお通夜だったので、急いで実家に帰らなければならなかったのだが、そのときは手持ちのお金もあまり無い状態で、しょうがなく丸井からお金を借りて実家のある北海道に帰るといった始末だった。

お葬式も終わり、東京に戻ってしばらくして母親から電話がかかって来た。
「49日の法要には来れるの?どうせお金が無いとか言うんでしょ?出してあげるから帰って来なさい!」と言った内容だったが、お金はどうにかなるとしても、仕事上の都合もあり、残念ながらその時は帰ることが出来なかった。

それから何日間は気に留めていたのだが、忙しさのなかでいつの間にか法要のことは頭から消え去ってしまった。

そのまま日にちは過ぎて行き・・・。
・・・ある日の夜。

仕事から帰ってきて一人でTVを見ていたときに「コンコンッ」とドアをノックする音が聞こえた。
時間は夜の8時半ぐらいだったと思う。

新聞の勧誘や宗教関係の人が、その時間に来ることもあったので1回目は無視する事にした。
すると、しばらくしてからまた「コンコンッ」とドアをノックする音が聞こえる。
「だれぇー!」と聞いても返事が無い。
まぁ近くに住む友人がアポなしで来ることもたびたびあったので、ドアを開けて外を確認する事にしてみた。
返事がないのはちょっとおかしいな?と思っていたけれども・・・。

わりと狭い廊下なので外の人に当たらないようにゆっくりとドアを開けていくと、一瞬だが普段はあまりしないであろう匂いがした。

線香の匂いだ。

不思議に思いながらもとりあえずドアを開くと、そこには見覚えのある姿があった。

「おっ、おじいちゃん!?」

なんと亡くなった祖父が目の前に立っている!

その時になって、やっと俺はある事を思い出した。

『もしかして今日って、おじいちゃんの49日だったんじゃ・・・』
『俺が行かなかったんで、おじいちゃん怒って出てきたのかな?どうする!』

頭の中では自問自答を繰り返していても、視線は目の前の祖父から離すことが出来ない。
祖父は無表情のまま俺を見つめているだけ。
どうする事もできずにドアを開けた姿勢のまましばらく向かい合っていると、無表情だった祖父の顔が不意に和らいでいく。

祖父:「よぉ、元気か?」

祖父は笑顔で俺に話しかけて来た。

俺:「んっ?、あ、あぁ...」

正直なところ、亡くなっている人に「元気か?」と聞かれてもどう答えていいかわからず、曖昧な返事を返すのが精一杯だった。

そんな笑顔の祖父を見て、俺の頭の中にいろいろな考えが浮かびはじめた。

『笑ってるよなぁ、おじいちゃん。もしかして最後の挨拶に来ただけなんじゃ?』
『そのあとスーッって消えちゃったりして...』
『法事に行かなかったのはゴメン!でも怖いからもうそろそろ...』

・・・しばらく自問自答しているうちに、俺はハッと気が付いた!

視線が外れている!
考え事をしている内に、つい俯きがちになり祖父から視線を外してしまっていたのだ。
『いけね!怒らせたかな?でもこの間に消えてるなんて事も...』などと思いながら視線をあげると、祖父はまだその場所にいた。

しかし!

表情が変わっている!
射るような視線で俺を見ている!

俺:「アッ、アッ、あのっ!」

何を言っても見透かされてるような気がして言葉にならない。

『とにかく謝るか?、謝らなきゃ!』

頭の中には浮かぶのだが、どうにもならずにいると、祖父の顔が再び笑顔に変わっていく。

『あぁ、許してくれたんだ。本当にゴメン!』

俺がそう思うと、やはりわかっているのか祖父はうんとうなずいたように見えた。
それを見て不謹慎ながら『これで帰ってくれるのかなぁ』と言う考えが頭に浮かんでしまった。

だが今度は表情は変わらない。
笑顔のままで俺に話しかけようとしている。

『あぁ、さようならって言うんだろうな』

なんとなく俺はそう思った。
しかし祖父の言葉を聞いて、俺は愕然とした。
祖父は笑いながら、こう言ったのだ。

「なぁ、あがっていいか?」と・・・。

あんまり怖くないかw
実話なんだけど、下手なうえに長い文章を読んでくれた方ありがとネw

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