必ずその階で止まる・・・

ある女性(仮にA子)が都内のマンションの一部屋を借りました。

その物件は新築、安い、会社に近い、というふうに文句なしのマンションで、好条件にも関わらず、A子が借りた部屋以外にも何部屋か空きがありました。

なぜ安いのかは借りた後に分かりました。
住民の話によると、最近、6階のとある部屋で女性が首をつって自殺をしたとのこと。
それから、夜遅くに一人でエレベーターに乗ると、6階で誰もいないのに必ず止まってドアが開くという噂が流れ始めたそうです。

しかし何部屋も空きがある。
つまり住民がマンションから去っていくということは、それがただの噂ではないという証拠ではないだろうか?とA子は思いました。

A子は気味悪くなりましたが、この好条件の物件を手放したくはなく、自分に『会社はいつも早く終わるし、夜遅くに帰ってこなきゃ大丈夫だ』と言い聞かせました。

とある日、はじめて残業をさせられました。
終わった頃にはもう24時近く。
転がり込める友人宅も近くにはなく、渋々マンションに向かいました。

エレベーターの前までくると、やっぱり乗る気がでません。
しかし運悪く、彼女の部屋は9階にあります。

階段を使うにはあまりにも遠すぎます。
仕方なく一人でエレベーターに乗り、9階のボタンを押しました。

イヤな音とともにエレベーターが上がります。
『お願いだから6階で止まらないで』と必死に彼女は思いました。

しかし、6階に差し掛かったとき「チーン」という音と共にドアが開きました。

エレベーターからは薄暗いフロアーが見えます。

「うわあぁぁぁ!」

A子はパニックに陥りました。

奥の方にある一つの部屋のドアに木の板がガムテープの様な物で×印に貼り付けられているのが見えました。

『あの部屋だ』と確信し、必死にエレベーターを閉めるボタンを何度も押しました。

ゆっくりとドアが閉まり、また何事もなかったように9階まで上がりました。
A子は走って部屋に戻り、その晩は明かりをつけっぱなしにして寝ました。

A子はこの一件により、本気でこのマンションが嫌になりました。
他の去っていった住民の気持ちが痛いほどわかります。
しかし、この物件に値するほどの所は他にはありません。
それほど安く、良い物件だったのです。

A子は『もう絶対に夜遅くには帰らない』と決心して住み続けることにしました。

時は流れ冬を迎え、会社の忘年会の日が訪れました。
全員強制出席ともあって、もちろんA子も出席しました。

みんな飲みまくり、終わった頃には夜中の2時すぎでした。

みんな別れた後、A子は友達の家に転がり込もうと思いましたが、2時すぎにそんな理由で転がり込むのはちょっと気が引けました。
酒も入っていたので『大丈夫だろう』という思いでタクシーでマンションに帰りました。
千鳥足でエレベーターに乗り込み、9階のボタンを押します。

エレベーターが上がり、6階に近づくにつれてA子の酔いが次第にさめてきました。

『もう止まるなよ』という思いとは裏腹に、やは「チーン」と6階で止まりました。

ドアが開き、また薄気味悪いフロアーが見えます。
A子の酔いは完全に醒め、顔が青ざめていきます。

しかし、ふと思いました。

『まてよ。もしかしたらいたずら好きの奴がエレベーターを止めてるのかも』

そう思い、思い切ってドアから身を乗り出してエレベーターのボタンのほうを確認しました。

しかし、人っ子一人いません。
不気味なくらい静まり返ってます。

『うわー!やっぱり誰もいない』と思いエレベーターの中に戻ろうとしたその時、エレベーターの横のドアが収納される面は鏡のようになっているのですが、そこにA子の顔が映っていて、そのA子の顔の真上に髪の長い青白い女性の顔が映り込んでいました。

A子をじっと睨んでいる女性の顔が・・・。

「・・・・・・・!!!」

A子は一目散にエレベーターから走り去り、階段を駆け下りました。
その後、友達の家に押し入り、その部屋を引き払ったのはいうまでもありません。

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