目が合ってこっちに来る

カテゴリー「心霊・幽霊」

何年か前に太陽光発電所の夜間工事中の体験を書いた者です。
昨日、同じように太陽光の夜間工事で見てしまったので書き込みます。

今回は福島の小さな山の一部を切り開いて作った太陽光発電所の出直し工事にきています。
山と言ってもさほど高いわけでも鬱蒼と木が繁って人気もないような場所ではないです。

車も余裕ですれ違える舗装された道が走って民家もちらほらあり、現場からも何軒か民家が見えています。

舗装された道から脇道に入って登って行くと、すぐ現場がありますが、現場のすぐ手前に墓地があるのと外灯が一切なくて、夜になると真っ暗なのがやや不気味なところ。
ここで昨夜、夜間作業をしていた時の話です。

現場は登ってきた道からさらに脇道を登った高い所にあり、作業をしてる場所からはこの道がよく見渡せました。
とは言え雨のせいで月明かりもなく、本当に真っ暗だからうっすらとしか見えないんですけどね。

車のライトを点けて頭にヘッドライト、雨も降って寒い中で仕事を頑張りながら一休憩入れようとした時、それが見えました。

自分が登ってきた道の入り口から真っ白な人影が歩いてきたんです。
真っ暗なのにはっきりと、光っているわけでもなく、ただただ真っ白な人影。
輪郭ははっきりしてて人の形はしてるんだけど、人ではない何か・・・。
ヤバイと思ったけど、距離があるので思わず凝視していると、そいつと目があった・・・ように感じました。

顔なんかないのっぺらぼうの白い人影になぜそう感じたかは分からないけど、「あいつに見られた!認識された!と」確かに感じたんです。

車に乗って逃げるか・・・。
でも現場から出る道は狭くその人影を轢かないと出れないし、反対側に登っても道はすぐに行き止まりになってる。

どうしようか・・・。
悩んでる間にもそいつはゆっくりとした動きで道を登ってきて、現場に入る脇道の所でぴたりと止まった。
どうするつもりか見ていると、またそいつがこっちを向いたように感じた。

こっちにくる・・・。

そう思って前の時とは違い恐ろしさを感じて車に向かおうとしたその時のことだった。

こっちに登ってこようとしたそいつの動きが唐突に止まった。

どうしたのか?と思ってよく見ると人影が増えていた。
真っ白で暗闇でもなぜかはっきり見えるそいつと違い、薄ぼんやりとしか見えない人影が白い奴の行く手を遮るように立っていた。

何が起きてるのかさっぱり分からずに見ていると、不意に低い男の声でお経みたいな唸り声がが響いた。

本気でビビって車に逃げ込んでしばらく震えてた。
車の中までその声は聴こえてきて、早く消えてくれって祈って・・・。
どれくらいの時間が過ぎたかは分からないけど不意にお経が止んだ。

どうなったか確かめたかったけど怖くて・・・しばらくためらってたけど外に出て、あいつらがいた場所を見ると人影はいなくなってた。
真っ白な奴も薄ぼんやりとした人影も。

慌てて片付けて宿に帰ったんだけどなかなか寝付けず、それでも疲れのせいかいつの間にか寝ていたみたいで無事に朝を迎えた。

白い人影も含めて正体は分からないけど、今になって落ち着いて考えると、あのお経を唱えていたと思える人影は俺を助けてくれたんじゃないかな。

現場近くに墓地やお地蔵様があったりするのはよくあって、そんなとき俺はいつも工事前に手を合わせご迷惑をおかけして申し訳ありませんと、と祈る習慣がある。

そういうのがひょっとして何かに通じていたのかなって。
さあ、これからまた同じ現場で夜間仕事です。

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