息継ぎなしの声が・・・

7年か8年くらい前の話。

今も親交のある友達二人と私で、県内でも有名な城下町に遊びに行った。

旅行の目的は城、足湯・・・と思ってたのは私だけだった。
友達二人は私に内緒で、心霊スポットに行く予定を立てていたらしい。

私は霊的なものは信じている方なので、遊び半分でそういう場所に行くのはものすごく嫌だった。

しかし、数の暴力とはよく言ったもので、私の反対など気にも留められず心霊スポットめぐりが始まってしまった。(この時ほど車出しときゃよかったと思ったことはない)

タウン誌?に書いてあった無名っぽい心霊スポットと、全国規模で有名な某心霊スポットの二か所を廻ることになった。
・・・が、所詮はタウン誌。
大雑把な位置しか書いていない。

結局私たちは迷いに迷って、「それっぽい」場所にしか到達できなかった。

基本霊感のない三人組だ、全然何も感じ取ることができない。

皆は『こんなものか・・・』的な感じで二つの心霊スポットを後にした。

その後も懲りずに神社めぐりやら何やらしたが、やはり何も感じ取ることはできず、虫さされの後ばかりが増えていった。

そして尻すぼみな感じでその旅行は終了。
まあメインの城は堪能できたが、心霊スポットでビビらされてしまった私はビミョウな気分で帰路に就いた。

その帰路での話だ。
私は車を出してくれた友人の家の駐車場に車を置かせてもらっていたので、友人宅まで一緒に帰り、その車を回収して一人で自宅まで帰った。

何も感じ取れなかったとはいえ、心霊スポットに行ってしまったという事実は私の肩に重くのしかかっており、びくびくしながらの帰り道だった。

しばらくは無音のまま車を走らせていたが、十分くらいで耐えきれなくなり車のスピーカーをぽちっ、とつけた。

せめて家までラジオでも聞いていけば怖さもまぎれる・・・と思ったんだ。

しかしそれが、失敗だった。

スピーカーから流れてきたのは、賑やかなラジオ番組・・・ではなかった。

低く、そして奇妙に抑揚のない男のハミングだった・・・。

男は一定の音階で、一定の音量で、「ん~~~~~~~~~」と歌っていた。

最初は、ラジオ番組だと信じ込もうとした。
しかし、男はいつまでもいつまでも歌い続ける。

「ん~~~~~~~~~」

一瞬、頭が真っ白になった。

『大丈夫、大丈夫、これはラジオ番組だ』と、パニックになりかけながらもひたすら自分に言い聞かせた。

しかし「ん~~~~~~」

一分経過し「ん~~~~~~~~~~~~」

二分経過しても、男はひたすらにハミングを続ける。
4分くらいで、私の何かがぷちっと切れた。

だってこの男は一度も息継ぎをしていない。
明らかに異様だった。

私は半泣きでラジオを切り、祈るような気持ちでもう一度スイッチを押した。

すると、わっという感じで賑やかなラジオの音が車内に溢れた。

『ああよかった、まともなラジオだ!』

そのラジオの音が聞こえた時は、心底ほっとしたものだ。

しかしすぐに疑問に思った。

じゃああれはなんだったんだろう・・・。

明らかに人間の男の声だった。

バックには伴奏も何もなく、ただひたすらにハミングを続けていたあれの正体が、今でも全くわからない。

その後、アルバイト先の同僚に、「私さんの後ろに、少し遅れてついて回る黒い影が見える。でも悪い感じはしないから大丈夫だと思う」と遠慮がちにつけくわえられたっていうエピソードは・・・やっぱり蛇足だろうか。

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