病棟で夜勤していた時の話。
ALSの患者さんで、筋力が落ちて話せない、動けなくなってしまった女性がいた。
コミュニケーションは文字板といって『あいうえお、かきくけこ~』と平仮名が書いてある透明の板を使い、相手の視線の動きをこちらが読んで理解する。
真夜中にその女性から立て続けにナースコールあり、女性の個室へ訴えを聞くために文字盤で視線を読む。
『へやのすみに』
『くろいかんごしがいる』
読んだ途端にもう、怖くて怖くてすぐ部屋飛び出してしまった。
廊下に出ると、女性がまたすぐにナースコールで呼んできた。
患者さんも怖い思いしてるのはわかったけど、自分だって怖くて訪室出来ない・・・。
仕方なく勤務室の先輩呼んで、一緒に部屋に入ってもらった時にはもう黒い看護師?はいないようだった。
それからその女性は私に不信感抱いてた感じだった。
ALSは、精神は正常のまま全ての筋肉が動かなくなっていく怖い病気。
体が動かなくなり呼吸もできなくなり瞬きすら出来なくなって、一切の意思表示が出来なくなった状態をロックというらしい。
ロック状態になったら尊厳死を頼んでいた患者のブログを読んだことがある。
自分が読み始めた頃、その人は人工呼吸器で手の小指を動かして書いてた。
すごく前向きに闘病してて世にALSを知ってもらう為の活動もしていたけど、やがて小指も動かなくなり瞬きだか視線だかで書いてた。
そして更新がなくなってブログも閉鎖されたよ・・・。