リビングの右手の部屋

カテゴリー「心霊・幽霊」

これは俺の叔父から聞いた話です。

叔父はとある霊感のある女性と友人で、いろんな話を俺にしてくれるんです。

I県に今年の春、アパレル関係の会社に就職の決まった女の人がいました。
仮にMさんとしましょう。

Mさんは就活が最終段階(第二面接)に差し掛かったあたりから、妙な夢を繰り返し見るようになったそうです。
その夢というのが場所はマンションの廊下らしきところ。

目の前には小さな女の子がいて、自分に向かって「ちょっと来て?」と微笑むのだそうです。
女の子は廊下の突き当たり、つまり一番奥の部屋の扉の前に立ち「ここ、あたしの家」と元気よく言うと、扉を開けて中に入っていく・・・。
自分も、中に入ると、フローリングの廊下が前に伸び、左手に洗面所がある。
正面にはガラスがあり、その向こうはリビングらしい。

女の子は、タタタっと廊下を走り、リビングの中央に立って、こっちを振りかえる。
そして、「あれとって!あれとって!」とにこやかに言うのです。

どうやら、玄関からは見えないものの、リビングに入って右手にもう一部屋あるらしく、そちらに向かって指をさし「あれとって!あれとって!」と、しきりに言うのです。

「え、何?何?」と、自分も廊下を小走りで駆け抜け、リビングに入り、右手の部屋をパッと見る。
そこには、どうやら女の子の大切なもの(具体的にはなんだかよくわからない)があって、自分はすごく興奮して、いつも、そこで目が覚める・・・。

起きた時に、あれが実在する物だったら自分の人生が劇的に変化するんだろうな、なんて思うほど、その夢の中の女の子が指差していた、『なんだかよくわからないものに』興奮していたそうです。

そして就職が決まったMさんは、2つ年上の彼氏と一緒に『就職祝いパーティー』をすることになったそうで、彼氏の運転で買い出しに行きました。

休日ですが、彼氏の仕事の都合で夕方になり、帰りにトイレがしたいということでコンビニに向かいました。

「ごめん、待ってて」彼氏は車のドアをばたんと閉めると、コンビニにかけていきました。

そこは、普段あまり来ないところ。
見慣れない景色に夕日が沈むのをMさんが見ていると、その景色の中に気になるアパート(3階建て、マンションというには少し陳腐)がありました。

どこかで見たことがある・・・。
Mさんは車を降りました・・・。

彼氏が戻ってくる気配がまだないことを確認しアパートを見に行きました。

大きな道路を挟んですぐにあるアパート、その階段を駆け上がります。
2階。
さらに駆け上がります。
コンクリートの階段の無機質な音。
3階。

すると、目の前に女の子がいました。

Mさんは、それほどびっくりしなかったそうです。

夢に何度も出てきた女の子にそっくり。
でも、その女の子は目にはくまができていて、服も薄汚れている。
どこか変・・・。

女の子は夢と同じように「ちょっと来て?」と言うのだそうです。
女の子は廊下の突き当たりまで歩き、一番奥の部屋の扉の前に立ち「ここ、あたしの家」とぼそり言うと、扉を開けて中に入っていく・・・。

自分も、中に入ると、フローリングの廊下が前に伸び、左手に洗面所がある。
正面にはガラスがあり、その向こうはリビングらしい。

・・・夢と同じ。
Mさんは、気味の悪さを感じました。

でも、それより・・・。
興奮の方がわずかに勝っていた。

女の子がタタタっと廊下を走り、リビングの中央に立ってこっちを振りかえる。
その女の子から目が話せない。

そして、「あれとって!あれとって!」と言う女の子。

リビングの右手の部屋。

「あれとって!あれとって!」Mさんは、唾を飲み込み、自分も廊下を小走りで駆け抜けました。

リビングに入り、右手の部屋をパッと見ると、その部屋では女の子の母親と思われる人が首を吊っていたそうです。

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