怖いかどうかわかりませんが、何年か前の話。
友人と心霊スポットを訪れて以来、怪現象のようなものに悩まされていました。
深夜、ベッドで眠っていると、部屋の中を誰かが「ずり・・・ずり・・・」と、這いずり回ってるような音がしていた。
それがとにかく気味が悪くて仕方がなかったので、少しでも恐怖を取り除こうと、某夢の国に行ったときにスマホに録画したパレードの動画を流しながら眠ることにした。
何時間か経ったあと、いつものように誰かが床を這いずっている音が聞こえて目が覚めた。
ループ設定にした動画がまだ流れていたので、”これ”のおかげで恐怖も少し和らぐな、と思っていると、部屋を這いずる音がピタッと止まった。
音の近さからして、どうやらベッドの枕元付近で止まったようだった。
それからゆっくり、人の気配が俺の顔の近くまで寄って来るのがわかった。
『うそだろ・・・』
そう怯えていると、その気配は近くまで寄りまたピタッと動きを止めたように感じた。
それからおそらく数分くらい経っただろうか。
気配を近く感じるものの何も起こらない。
恐怖もあったが、次第に好奇心と眠りを妨げられた怒りが湧いた俺は気配の正体を見てやろうと思った。
うっすらと片目を開け、気配を感じる枕元を見てみると、人型のような黒いモヤがあった。
人の横顔のようだった。
『やばい!』と思ったが、何かおかしい。
そういえば何で横顔なんだ。
仮に俺に危害を加えようとするなら、俺から見えるのは正面だろ・・・。
そう思って黒いモヤの視線の先を見てみると、俺のスマホだった。
スマホから流れる某夢の国の動画を、じーーっと見つめている。
動画からは人々の歓声、楽しい音楽が流れている。
黒いモヤは音が気になるのか、それとも某夢の国が好きなのか、俺なんかには目もくれず、ずっと動画を見ていた。
その日以来、しばらく夢の国の動画を流しながら眠るのが習慣になっていたが、あの日以来這いずり回る音はぴたりと止んだ。
実話なのでオチがなくて申し訳ないです。
ただあれ以来、夢の国に行ってパレードを見るたびに、アイツ(黒いモヤ)にも見せてやりたいな、と思うようになってしまいました。