高校生の頃だから、かれこれ20年以上前の話になる。
市立図書館に夏休み行った。
午前中の早い時間。
クーラーが効いてるから涼みに行ったようなもんなんだけど、図書館なんだし、ただ歩いてるのもなんなんで書棚を順番に見ながら、暇潰しをしていた。
夏休みであるけれど、かなり人は少なかったと思う。
歩いていると前方に小学校高学年から中学生くらいの男子がいた。
視線が一瞬だけ合ったんだけど、自分はその子の後ろにある書棚を見ている振りをして、視線をそらした。
それでもじっと男の子は自分を見ていて、何だか気味が悪いと思い、図書館を出ることにした。
当時、自転車で図書館に来ていたんだけど、その男の子も同じ駐輪場に自転車を置いていたみたいで、その後も1時間ほど追い掛けられた。
しかも自転車と自転車をピッタリとくっ付くような感じで。
最高潮に恐怖と気持ち悪さと、警察に行くかどうか、このまま自宅に帰ったら自宅を知られるかも知れない恐怖とか、頭がこんがらがった。
そのとき、自分の通っている高校が近くにあることと、高校に同じクラスで野球部に所属している同級生が部活動で出ているかも知れないと頭に浮かんだ。
すぐ、高校に向かった。
高校に着くと、門の近くに野球部の連中がこれからランニングを始めようとしていたようで集まっていた。
あまりの恐怖で、自転車ごとその集団に突っ込み、「変なやつに付けられてる!」と叫んだ。
付いてきていた男の子は諦めたのか、数十メートル先からじっと見ているようだった。
けれど、自分が「あそこにいるやつだ!」と言っても、部活動の先生も野球部の人たちも、「どこどこ?」と見つけられないようだった。
高校の正門前にある道は一本道で、見渡しもよく、その男の子以外誰もいなかった。
自転車を脇にして立っている姿があんなによく見えるのに、でもなぜか、他の人には見えていないようだった。
「あそこにいる自転車と一緒にいる男の子」だと何度も言ったんだけど・・・。
数分すると、その男の子は元来た道を自転車に乗って行ってしまった。
その男の子には太陽の光に当たって間違いなく影もあった。
図書館でぶつかったとき、質感もあった。
けれど、本当に生きてる子だったのかわかりません。
この件以降、図書館は怖くて行かなくなりました。