霊なのか怪物なのか・・・

カテゴリー「心霊・幽霊」

大学2年の時、一人暮らししていた俺は寝ているときに、腹の上に何かがのしかかってくるようなものを感じた。
耳鳴りが激しく鳴り、身体が動かない。
俺は恐る恐る目を開けた。
俺の顔面から拳2個くらいのところに、「ソレ」がいた。

海草のようにぬめった、黒い毛糸のようなものが人型をなした奇怪なもの。
顔らしき部分には、血走った目が浮き出ていた。

俺は視線をそらすことができなかった。
耳鳴りの中にギチッギィギィという音が聞こえた。

ソイツの口らしき部分が開き、なにかを呟いているように見えた。
俺を呪っているようのか苦しんでいるのか?
俺にその真意は分からない。
とたん、視界が真っ暗になった。

息ができなくなり、胸が苦しい、水の中にいるような、そんな感覚に襲われた。
聴覚は耳鳴りで奪われ、視界は真っ暗、身体は動かず、感じるのは自分の心臓の鼓動だけ。
息も満足にできなくなった、上も下も分からず、なのに沈んでいく感覚がした。
俺は室内に居ながら、溺死しそうになっていた。
いくら沈んでも、どんなに沈んでも、底がない、そんな感覚。

途中、突然、ふわっと身体が浮かんだように感じた。
プールからプールサイドに上がる感覚みたいな感じといったらいいかもしれない。
解放されるように身体にかかっていた圧力がなくなり、消えた。

俺の感覚が戻ってきた。

目は閉じているのか、真っ暗だが、徐々に身体が五感を取り戻していく。
布団を背中に感じた。耳鳴りも遠くなっていった。
息苦しさも無くなった。
心臓はまだバクバク言っているけれど。

俺はゆっくりと目を開けた。
ソイツはまだ俺の上に居座っていた。
けれども重さは感じなかった。

赤く充血した目で、俺を憎らしそうに、口元を動かしながらじっと俺を睨んでいた。

何分か何時間か、どのくらい時間が経ったか分からない。
ソレはすうっと薄くなり、消えていった。

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