中学のとき、夏休みを利用して友人の祖母が住む田舎に泊まった。
夜、布団で寝ていると、足元のほうから畳がすれる音がする。
気になってそっちに目をやると、着物姿の老婆がお盆?のような物を両手に持ってゆっくり歩き回っていた。
慌てて体を起こそうとしたが、動かない。
だが目だけはしっかりと老婆の姿を捉えていた。
しばらくして老婆はフッと消えた。
翌日、友人にその話をすると、「それうちのひいばあちゃんだよ。いつも着物きてたし」と言って、写真を持ってきた。
その場にいた友人の祖母も、「お盆が近いからきっと出てきたのねー、悪いひとじゃないから怖がらないでね」と、俺に話していた。
だが、そのときは言い出せなかったことがある。
写真で見た友人の曾祖母と、俺が見た老婆は、まったくの別人でした。