そんなプレゼントは喜ばれない

カテゴリー「心霊・幽霊」

小学校の頃に時々遊びに行っていた、小高い丘ぐらいの小さな山があった。

奈良の若草山をせいぜい縦横高さを二倍にした程度の、本当に小さな山だ。
お寺、打ちっ放しのゴルフ場などがあり、木もあまり生い茂っておらず、子供が探検するには手頃な感じだった。

また、山の麓は植木畑に繋がっていて、桜や木瓜などが綺麗な花を咲かせていた。
ところが、住宅地から近く、登山路も多くあるせいか、首吊りが時々ある場所でもあった。
また、砥石の採掘場跡もあり、山に二箇所採掘口の入り口が残っていた。

その採掘口近くで盲水晶が良く取れたので、毎回その辺りを掘ったりしていた。

ある日、そこで紫水晶の原石を拾った。
サイズは小さく、鉱物標本のように水晶が沢山固まっているのではなく、ばらばらにな水晶の一つだ。

それから月日が流れ、五年前の事。
MSNで知り合った女の子と意気投合して、新宿で会う事になった。

その子の誕生日が2月って聞いていた。
会う二日前に突然その山を思い出して、記憶にある場所に行ったら、割と人が来る山にも関わらず、紫水晶の欠片が見つかった。
「よし、これをプレゼントしよう!」と思い、カバンに入れて、新幹線で上京した。

ご飯を食べて、お酒を飲んで、カラオケに行って、良い感じになったので、次は・・・って前に、その紫水晶の欠片をカバンから取り出した。

俺:「誕生日2月って聞いていたから、これあげる。山に入って自分で取ってきたやつだから、高価じゃないけどね」

その瞬間に、女の子が嗚咽を始め、トイレに走って食べたものを全部もどした。
顔つきが妙に怯えていて、受け取ろうとしない。
そして、その場で走って逃げられてしまった・・・。

よく考えたら、首吊りとかがあった山で取ってきた石プレゼントって、酷い話だなと思いつつも、その後連絡が取れなくなった。
その子に未だに謝れていない。

電話全然通じないんだ・・・。
紫水晶は拾った場所に戻しておいた。

その子、元気かなぁっと思いつつ、今も申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

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