数十年前になるけど、近所で少女行方不明事件があった。
現在も見つかっていなくて行方不明のままだ。
これは全国版の新聞でも紹介されたし、事件があった事だけは紛れも無い事実だ。
どの事件か特定出来るような記述は避けておく。
これから書く事はよくある噂話のようなもので真実は判らないので・・・。
その事件が起こってから4、5年経過した頃、俺は母親からこんな話を聞いた。
母:「この前ね、Iさんが雨の日に夕方、**町の奥にある池のほとり歩いてたんだって。そしたら女の子が傘もささずに向こうの方から歩いてきて・・・ほら、あそこはあまり人も通らない所だし、家も少ないでしょ?あの近辺にある家の子供だったら大体顔見知りだけど、その子は全然見たことなかったんだって。雨の中傘もさしてないから、ちょっと変だな?と思ったらしいの。そのまますれ違ったんだけど、気になるから少し歩いて振り返ったら誰もいなかったんだって。もう怖くなって急いで走って帰ったんだって」
池のほとりのどこですれ違ったのか判らないけど、そこは急に姿を隠したり出来る場所なんてないし見通しも良い為、俺も少し不思議に思った。
母:「それでねIさんが言うには、その女の子が・・・ほら、あの行方不明になった娘がいたでしょ?**ちゃん。あの娘にそっくりだったっていうのよ」
これには俺も後からとってつけたような話で、ふ~んと聞き流した。
それから数日後、まったく別の人からこんな話を聞いた。
別の人:「行方不明になった**ちゃんっているでしょ?霊能者の人があの子の家から東南の方角に埋まっているって言ってるんだって。**ちゃんの姿が濡れたように見えるから池か沼の中に埋まっているんじゃないかって言うんだけど、本当なのかしらねぇ~」
これを聞いて俺は驚いた。
Iさんが少女を見た池というのは、行方不明になった娘の家から東南の方角にあるからだ。
もしかすると少女は本当にその池の中に沈んでいるのかも知れない。