実家に六畳間その一とその二がある。
その一は昔、祖父母の寝室に使われていて、その隣の部屋に寝ていた私は、ほぼ毎晩うなされて叫ぶ祖母を起こすのが日課だった。
祖父母亡き後は両親の寝室になり、父の単身赴任中に母が一人で布団に入っていると、おかっぱ頭のてっぺんを結んだ十代半ばの大きな子供が布団を踏んで歩くので、
夜、布団に入るのが怖かったそうだ。
子供は丈が短めの絣を着ていて、そういう服装や髪型や行動は「頭の中でテレビみたいに映像が流れてわかるの」と母。
六畳間その二は私と姉が中学高校の頃使っていて、姉はその部屋で時々金縛りにあっていたらしい。
そんな時はたいてい枕元に絣を着た男の人が立っていて、とても怖かったと言っていた。
私はその頃霊的なものを一切信じておらず、金縛りの経験もなくて、祖母、母、姉は神経質で疲れ易い人々なのだなあと、気の毒に思っただけだった。
数十年後、真夜中に実家でお月見してた息子が、「六畳間の外の庭で、おかっぱ頭のてっぺんを結んだ子供の生首が跳ねてた」と報告してきたので思い出した。
母親と息子が見たのは同じ奴なんだろうけど、母親の時は足があったっぽいのに、息子時には胴体が無く頭だけになってしまったのね。
霊の世界でも経年変化による体の欠損とかあるんだろうか・・・。