幽霊列車と幽霊踏切の話。
俺の母親の郷里と父親の郷里には、幽霊列車の話がある。
どっちも概要は同じだ。
夜、営業時間が終わって駅も閉まった後で幽霊列車が走る・・・というもの。
どちらも地元では言われて無くて、離れた町で言われたりネットで広まっている。
それで今でも時々肝試しに来る奴がいて、時には終電の時間を間違えて事故ったりする。
ただ、その真相は2つとも違う。
母親の郷里だと戦後間もない頃に列車上そう事故があり、その幽霊が乗っている・・・と言う設定になっている。
真相はこうだ。
昔その路線では、営業時間が終了した後、回送車が出てた。
回送車でその日の売上と駅員を回収して車両基地まで運ぶ。
回送なので車両の電気は消して、乗っている人は外を見て、危険箇所が無いかのチェックなどをしていた。
ダイヤに載っていない、定期列車。
それで通称幽霊列車と呼んでた。
戦前にその路線で山の崩落事故があり集落と列車が飲まれたのは本当だけど、その後線路を付け替えているので場所は全く違うそうだ。
崩落事故があった辺りには、かつての線路の面影など何もない。
親父の郷里では、戦前山崩れで列車が埋まり、死者が多数出た。
夜中の列車にその幽霊が乗っている・・・という設定になっている。
真相はこうだ。
戦時中、その路線は軍に徴発される時があった。
関東から九州の方に兵士を運ぶ路線の1つとして。
その列車は真夜中に走っていてそうだ。
空襲を避けるために、駅も付近の家も街灯も全て消された中を列車は走った。
ダイヤに載っていない臨時列車。
その列車を見た・・・と言うのを誰かに伝えると直ぐに特高がやってきて、子供でも大人でも引っ張られて行った。
それで見たり口にしたりすると祟りがある列車として、幽霊列車と言われるようになった。