得体の知れないモノを尾行した

カテゴリー「心霊・幽霊」

大学3年の時のちょっとほんのりな話。

その日は気の合う仲間と大学近くの居酒屋でしこたま飲んで、カラオケで散々騒いだ後帰ることになった。

お互いの下宿先のアパートまで当時付き合っていた彼女(飲み会にも来ていた)と歩いていたのだが、途中で口論になり、彼女が怒って「トイレ行きたいから先帰る!」とさっさと歩いて行ってしまった。

その時点で深夜2時頃だったし、田舎で人通りが少なく、街灯もないので真っ暗。
こっちも腹は立っていたけれど、深夜だし流石に心配だったので、後をこっそり追いかけることにした。

カラオケ→現在地→大学→俺の家→→彼女の家

みたいな位置関係で、彼女の家はまだまだ先だし、近くにトイレに行けるような場所もないためか、彼女は大学に向かっているようだった。

研究棟の廊下とトイレはセンサーライトになっていて、俺が通ると廊下のライトがつき、突き当たりにある女子トイレに入る後ろ姿が見えた。

トイレの前で待っていると、コツコツとヒールで歩く音が聞こえるが、待てど暮らせど彼女は出てこない。

10分ぐらい待ったが、相変わらずヒールの音が聞こえるだけ。
名前を呼んでも返事がない。

彼女が入ってトイレの電気がついていたので、今トイレの中には彼女しかいないはず。
いい加減痺れを切らし、思いきってドアを開けた瞬間、ライトが消えた。

不思議に思い、トイレの中も一通り確認したが誰もいなかった。

腑に落ちないまま帰宅すると、彼女が俺の部屋の前で待っていた。

大学のトイレに行こうと思ったが、夜中で怖くなり途中でやめたらしい。
足元を見てゾッとした。
彼女はヒールを履いていなかった。

俺が待っていたのはいったい誰だったんだろう。

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