あの時絶対に居たんだよな・・・

カテゴリー「心霊・幽霊」

休みの日にドライブするのが趣味です。
特に山方面の酷道をのんびり探索するのがおもしろい。

7月初めの曇りの日、諏訪湖の方角に行ってみた。
長野に入った辺りから雨が降り出して視界が悪くなった。
このままでは危ないので引き返そうと思った。

どうにもUターン出来そうな場所が無く、仕方なく脇道に入り大回りする。
が、どんどん道が細くなり行き止まりになるのではないかとハラハラした。

峠を越えて下りになった。

急なカーブを何個も通過し、集落に辿り着く事が出来た。
少し広い場所に片寄せてナビと地図を確認する。
この先数キロで幹線道路に出られる。
よし、行くべ!

多少のスリルが味わえたことで高揚し、いい気になっていた。

走り出してすぐに「ゴンッ」と前輪が跳ね上がり、ガリガリと底を擦る。
ブオーンッ!!と空転した。

側溝が道を横断していて、その蓋がほとんど割れていた。
前輪が二つともハマり、車体が地面にへばりついていた。

バックしたり、ハンドル切ったりしてみたが全くダメだった。
青くなりながら、最終手段のJAFを呼ぶ事にした。

しかし、携帯が繋がらない。

ハザードつけっぱなしにして集落の方へ戻ってみる。
携帯の電波が届くかもしれないと思った。

圏外表示が消える事無く、おそらく集落の中心であろう所まで来てしまった。
こうなったら何処かで電話を借りようと周りを見渡すが、人が居る気配が無い。

段々畑のすぐ上の農家が一番近い。
不審人物に見えないようにでかい玄関にたどり着く。

「すみませ~ん。」
「ごめんくださ~い。」

反応が無い。
縁側の方にまわってみる。
そこでもう一度呼びかけてみるが、やはり反応が無い。

道の向かい側にも古い農家があるのに気がついた。
こんどはそっちに助けを求めてふらふらと近づく。

「すんませ~ん!」

一瞬、台所らしき窓に人影が見えた気がした。
御老人がおられるようだ。

良かった、人が居た。

玄関にたどり着いてギョッとした。
扉が完全に外れて内側に外側に倒れている。
昨日今日壊れたものでは無い感じ・・・。
中も埃まみれで下駄箱の上の置物やら何やらが散乱している。

怖くなって後戻りし、携帯のアンテナが2本立っている事に気がついた。
そのおかげでJAFに連絡でき1時間程度で隊員が到着した。
JAFの人は黙々と脱輪からの救出を行ない手続きをしてくれた。

礼を言って、そのままの道を行こうとすると、隊員は慌てて話しかけてきた。

JAF:「この先は通行止めですよ」
俺:「あ、そうなんですか?」

JAF:「もうこの道は廃道で、無くなる予定ですから来た道から戻って下さい!」
俺:「・・・あ、そ、そうなんですか・・・」

JAF:「もしかして、酷道ハンターとか言う方ですか?」
俺:「いえ、違います。似たような事してた訳ですが・・・」

JAF:「気をつけて下さいね、ここは熊とか出ますから」
俺:「は、はい・・・熊ですか!」

JAFの車に付いて山を下りながら考えていた。

オレが見たあの老人は・・・。
今でも謎のままである。

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