あれは10年程前の事です。
バイク好きの私は友人3人と、長野の美ヶ原周辺のワインディングを楽しんでいました。
ふと気がつくと、一番先頭の友人の前に黒いオートバイが走っているではないですか。
しかも、たよりげないフラフラとした走り方で、かなり古いバイクのように思いました。
何個かコーナーを抜けると突然道が悪路にかわり、全員が一時停止しました。
黒いバイクがいないので、先頭を走っていた友人に尋ねると「何、言ってんだよ。そんなバイクは見てないぞ」と。
私は「こいつは、なに言ってるんだ。確かに黒いバイクが・・・」と全員に聞きましたが、誰も見ていないとのことでした。
不思議な気持ちのまま悪路をスローペースで10分程走ったところで、また全員がストップしていました。
なんとそこには、先ほど私の見た黒いバイクがボロボロの状態で木に突き刺さっていたのです。
私が見たバイクは確かにこれだと言うと、友人たちは真っ青になり、その場から一目散に逃げだしました。
私の見た物は、事故死したライダーの亡霊だったのでしょうか。