それは確実に女だった・・・

カテゴリー「心霊・幽霊」

帰省したときに体験した話。

時期は8月末、丁度今頃だった。

中学時代に仲の良かった友達と飲みに行って、店を出た頃にはもう日付が変わってた。

その後、このまま解散するのもアレだし、酔い醒ましに海に行くことにしたんだ。

海までは歩いて15分ぐらい、そう遠くではない。

他愛もない話をしながらタラタラ歩いて行くと、程なく砂浜に着く。

そこは人工砂浜で遊泳禁止なんだけど、昼間は水遊びや散歩、ウィンドサーフィンなんかで結構賑やかになるトコ。

ただ時間が時間なので、当然誰もいない。

加えて真っ暗。

適当に腰を下ろしてふと波打ち際に目をやると、俺達から見て左の方に何か白っぽいものが見える。

ゴミだろ、とか適当にスルーして話題は中学時代の思い出話に。

下らない当時の噂話を始めてすぐ、突然寒気が。

海のそばで風も強いので、まぁこんなもんかな、と思っていたら、友達も寒いとか言い出したので、もう一軒別の店に行くことに。

そこでさっきの白っぽいものが再び目に入る。

ん?さっきより近くに来てないか?

なんとなくさっきよりデカい気がする・・・。

そんなことを友達に話すと、そいつは「風にでも飛ばされたんだろ」とバッサリ。

その瞬間、コンビニ袋らしきものが風に飛ばされるのが見えた。

風は、海に向かっている俺達から見て、右前から左後ろに抜けてく感じ。

その袋も俺達の右から左へ、俺達から離れて行く形で飛んでってる。

え?なんか変だ。

それなら、あれも袋と同じで俺達から離れて行くんじゃね?

しかも、あの白っぽいの、さっきより更にデカくなってね?

それを友達に話したら、そいつも、確かに何かおかしい、と思ったみたい。

そいつ、そこから2、3歩程近付いたんだが、そこでピタリと止まり動かなくなる。

多分4~5秒なんだろうけど、その永遠とも思える時間が経ったあと、そいつは震える声で言った。

「あれは・・・・・・何だ?」

俺が視線をそいつから白いのに移した瞬間、俺も「あれは・・・・・・」と言ったまま絶句。

それを表す言葉を俺は知ってるけど、それを口に出すことが出来なかった。

なぜなら、俺の知ってるソレと、今見ているものがあまりに違うから。

それは、髪の長いヒトだった。

女性っぽい見た目で白っぽい服を着てたんだけど、なぜか全身ずぶ濡れな感じで、顔を伏せながら腕だけでホフク前進してるように見える。

しかも、これは感覚的なものでしかないけど、物凄い悪意というか敵意みたいなものを感じたんだ。

俺も友達も、それを見たまま硬直してる。

頭は早く逃げろって命令してるんだけど、体が全く動かない。

その時、ソレが顔を上げた気がして、反射的に目を背ける。

友達も「ヒィッ」って声をあげて目を背けてるみたいだった。

その声で我に帰った俺は「逃げろっ」と、大声で叫んで、ソレに背を向けて逃げ出した。

後ろからは、友達のヒィヒィ言う声が聞こえる。

そいつも逃げてるみたいだ。

どのくらい走っただろう。

少し先にコンビニの明かりが見えた。

そこまで行って初めて後ろを振り返る。

少し遅れて友達も走ってくる。

その後ろには・・・

何も付いて来てないみたいだ。

二人してその場にへたり込む。

そこは良く知ってるコンビニだった。

とりあえずそこで冷たい飲み物を買って、店の前ですぐに飲み干す。

そのコンビニから少し離れた所にまだやってる飲み屋があったので、どちらともなくその店へ。

席に着いてとりあえず中生を頼むが、それ以外はお互い無言。

すぐに中生が来たので、それを一気に飲み干す。

そこでやっと友達から言葉が。

「さっきの・・・・・・何だ?」

友達の質問に俺も質問で返す。

「おまえも・・・・・・・・・アレ見たのか?」

その後、明るくなるまでそのことには一切触れず、二人とも不自然に高いテンションで飲み明かしてから帰宅した。

それ以降そこには行ってません。

以上が俺の体験した話。

俺は、霊感は零感だと思ってるんで、これが何だったかは断言出来ない。

ただ、あのときはマジで生きた心地しなかった。

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