この現象、女の正体を説明できる人いますか?

カテゴリー「心霊・幽霊」

初めて書くひまつぶし程度に聞いてくれ。
今三年ぶりくらいに高熱が出て、療養にも飽きて暇なんだ。

趣味といえば単独で山に登ることくらい。
あまり大きな声では言えないけど、廃墟巡りとかね。

数年前のことなんだけど、その日もいつものように自宅からクロスバイクを使って、山の入り口ギリギリまで行きザックを背負って入山。

二時間くらい歩くと、山道がやや険しくなる。
人も全くいない。
道標となる樹に結びつけられた赤いテープも、倒木と共に行き先を不明瞭にしてる。
鎖場とまではいかないまでも、岩が多く苔が生い茂り全身緑に包まれるような感覚に陥るんだよ。

そこいらまで行くと、川も澄んでいる。
岩伝いに渡ろうとした時、ある女の人と出会った。

なんというか、不思議な服を着ていた。
ローブっていうのかな?一枚の布を繋ぎ合わせたようなやつ。

まず思ったのは、コスプレイヤーかなにかか?と思ったんだよ。
俺は廃墟にも行くので、コスプレに興じている人を何人か見たことがある。

でもここは山だ。
女性一人ってのも謎。
装備もなにもない。
なにより驚いたのは、外国人だったってこと。

まぁ驚いたのなんの。
家から近いこともあり、たまにその山に行くが、そのルートで人と出会ったことは皆無といっていい。

おまけに美人なんだよ。
中東系の顔立ちで、20代後半から30代前半くらいの風貌。
青い目が印象的だった。

しばらく惚けてたんだけど、とりあえず挨拶をした。
山行く人はわかると思うけど、すれ違う時よく「こんにちは」って言うよね。
日本語が通じるかもわかんなかったが、とりあえず会釈しつつ言ってみた。

流暢な日本語で返答があった。

挨拶したからかわかんねーけど、女の人はものすっっっごい笑顔を浮かべたんだよ。
暖かみのある笑顔だった。
コミュ障だけど、なんとなく話しやすい人だと思った。

いろいろ質問したいとこだけど、何より山に一人の女性という状況はあまりよろしくない。
迷ってるのかもしれないし、もしよかったら一緒に下山しますか?って言ったんだよ。
すると女の人は静かに首を横に振った。

女の人は殆ど喋らないし、頷くだけだったから会話という会話でもないが、居心地の悪い無言じゃなかった。
何度も言うが、優しさオーラが半端なかったんだよ。

俺はザックを降ろして、ちょっと質問してみた。
完全に興味本位。

観光客が来る場所でもないし、先ほどの流暢な日本語で日本が長いのだろう・・・と思った。

ここで何をしているのか?
どこから来たのか?
コーヒー飲みますか?

ここで何をしているか、については正直よくわからんかった。
これから私と出会う人は増える。
だの、求められたから来ただの。
悪の道に落ちた人類が云々。
正直聞いてて、あ、この話難しいしちょっと電波だ、と思った。

その時点で俺の中ではコスプレイヤー説が有力だった。

どこから来たのか、は返答はなく、人差し指を上に立てただけだった。
山道を登ると京都に繋がっているので、多分京都から来たんだろう。

んで俺の山での一番の楽しみ、コーヒーを一緒に飲むかと進めたが断られた。
ちょっとショックだった。

孤独好きなら逆に迷惑かなと思い、そろそろ行こうとした時、女の人に不意に呼び止められた。

「次はいつここに来ますか?私は待っています。」

ちょっと怖くなったが、邪気のない笑みにやられた。
また来ます、と言いその日は別れた。

ちなみに帰りには、女の人はいなかった。
俺は京都方面に向かい、そのまま引き返したのにすれ違うこともなかった。

翌週行ったら、また同じ場所に女の人はいた。

二回目だが、会うや否やポツポツと勝手に話し始めた。

覚えてる限りだけど箇条書きする。
難しい言葉とか言ってたけど、よくわからんのは聞き流した。

大陸の勢力が力を増す。
獅子が倒れる。
この国は迫る滅びに恐怖する。

しかしはっきりわかるのは、こちらが光であるということ(強調してた)。

どのような状況になったとしても、悪に屈してはなりません。
悔い改めることを軽んじなければ、光は常にあなた方の側にある。

んで笑顔に戻って、できる限りたくさんの人に伝え広めなさいって言った。
そんな電波な内容言えるかよ!て心の中で突っ込んだよ。

しかもおかしいのが、俺が名前名乗ったんだよ。
そしたら知ってるって言う。

どうして?って聞いてもニコニコ。

対してあなたは?って聞くと、マサーってえらく発音良く言ってた。
勝手にマサさんって呼んだ。

その日、帰って高熱を出した。

夢の中でマサさんが手を振ってる。
光の束の中を、エレベーターみたいなので上りながら。

風邪引いた時はありがちだと思うけど、感傷的になってものすごく悲しい気持ちになった。
もうあの笑顔が見れない。
あの安心感を感じることができない。

それが悲しくて、枕が涙で濡れてた。
多分、もう会えないだろうと感覚的に思った。

それから何度か同じ場所に行ってみたけど、やっぱり会うことはなかった。

それがちょうど今から三年前。
白い目で見られるのを恐れて誰にも言ってこなかった話。
ネットならいいかと思いました。

今俺が熱を出してるのも、何かの前触れなのかなぁ。
この風邪が治ったらもう一度行ってみようと思います。

長くて申し訳ないですが、これで終わりです。

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