『英彦山青年の家』に夜な夜な訪れる

今から8年ほど前に『英彦山青年の家』で合宿したことがある。

”英彦山”とは大分と福岡の県境に位置する標高1200メートルの山で、日本三大修験のひとつとして広く信仰を集めているところである。
つまり、英彦山は古来より多くの修験道の行者たちが修行に明け暮れた”霊山”というわけだ。

英彦山については何の知識も無いままに合宿に参加していた。

特に変わったこともない、いつも通りの合宿であった。
底冷えのする寒い夜であったが、室内は暖房がよく効いており、またアルコールの影響もあって寒さを感じることはなかった。

深夜、トイレに立った。
用を足している途中、霊感の無い私でもそれはハッキリとわかった。
トイレの入り口のドアが音も無く、スーっと開いて静かに閉まったのだ!

それは一度だけ・・・・・・・。

他のメンバーも同じような体験をしている。
翌朝、施設の管理人に問い合わせてみると・・・・・・

管理人「あ~、夕べも来ましたか・・・。よく来るんですよ!」
一同「・・・・・・・・・・・・」

道を求める修験の行者はそのほとんどが志半ばにして倒れていったに違いない。

野に伏し、山に伏し、草木を枕にする行者にはその躯(むくろ)を横たえる棺など存在しない。

行者たちは仲間の屍の上に石を積み上げ、塚を作っていくという。
そのままにしておけば屍は野犬に食い荒らされてしまうからだ。
英彦山の中腹に”青年の家”が建設される時、いくつもの石の塚が見つかり、白骨化した行者の屍が出てきたらしいのだ。

そして、今日に至っても夜な夜な訪れるらしい・・・。

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