あの声をもう聞きたくない・・・

以前私が勤めていた職場での話です。

私はある場所の老人施設で働いていました。

その施設は死期の近いかたが多くおり、身寄りがいない人が大半です。

やはりそういった場所ということもあり、怖い噂は後をたちませんでした。

私は直接見たことや体験したことがなかったので半信半疑でしたが、今回の体験で嘘ではなかったことがわかりました。

少し肌寒くなってきた季節、私は夜勤で一人詰め所にいたときです。

つい先日亡くなった末期ガンだったおばあさんの部屋の方から音が聞こえて来たのです。
老人施設という事もあり、誰か部屋がわからなくなり入り込んだのだろう・・・と思い見に行くことにしました。

もう一人の夜勤者は仮眠中で心細さはあったものの、暗い廊下を非常灯の明かりを頼りに歩いていきました。

音のする部屋はやはり以前おばあさんがいた部屋です。

「失礼します~、誰かいますかぁ~?」

小さな個室入れば誰かいるかなんてすぐにわかります。

何処から音が聞こえてくるのか・・・よりも何を言っているのか、私はなぜかそちらが気になりました。

「・・・ぃ・・・・・・し・・・」

最初はなにを言っているのか全くわかりませんでした。

しかし段々声が大きく、はっきり聞こえて来たのです。

「・・・ぃ・・・サ・・・ィ・・・サミ・・・・・・イ・・・サミシ・・・サミシイ・・・サミシイ・・・サミシイサミシイサミシイサミシイさみしいさみしいさみしい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい」

恐怖で一歩も動くことができません。

段々頭がボーッとしてきて倒れそうになったそのとき「ピロロロ!ピロロロ!ピロロロ!ピロロロ!」、ナースコールが鳴りハッと我にかえり、部屋の外に飛び出しどこで鳴っているのかを探しました。(各部屋には点灯ライトが付いているんですよ)

頭上でクリーム色の蛍光灯が点滅していたのです・・・。

私はすぐに詰め所に戻りました。
流石に怖いですからね・・・。

しばらくして仮眠者が帰って来たので一緒に見に行ったのですがなにもなく、呼び出しボタンの誤作動で終わりました。

あのおばあさんは生前寂しかったのでしょうか?

それとも一人で死んだことが寂しかったのでしょうか?

私はその後たびたび声を聞くようになり、施設を去ることにしました。

今は違う施設で仕事をしています。
私は今でも誤作動だなんて思っていません。

それは他の入居者から「毎晩◯◯さん(例の部屋にいたおばあさんの名前)サミイ、サミイってうるさいんだよ~、早く暖かくしてやんな~」と言われたのです。

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