あの神社に行ったことを酷く叱られた

カテゴリー「心霊・幽霊」

久しぶりに実家で幼馴染と会った。

彼も俺も子供の頃から釣り好きで、実家近くの飲み屋で会う約束で会うことになった。

そこでは一緒に釣りをした時の思い出話になった。
どーしても確認したいことが彼にあって、偶然でもないと思うが、彼もそのことが気になっていたらしいのだ。

それは小学校の高学年の時だったと思うが、彼と二人で一時間ほど歩いて行くと、そこに大きな神社あった。

その神社の敷地の中に大きな池があって、そこの池では大きな鯉も釣れるので、何度も釣りたくて期待をして二人で行ったものだった。

昼間には何度か釣りに行った場所なのだが、あの日の釣りのことが大人になっても気になっていて、幼馴染の彼と会う機会があったら確認してみようと思っていたのだ。
そして彼も同じ気持ちだったのだったようだ。

それは夕方になって家に帰らないと母親に叱られる時間になったのだが、中学生らしき人が50センチ以上もあろうかとも思える大きな鯉を目の前で釣ったのだった。

それを見た俺等も釣れる期待を込めて、浮きが見えるまでやっていたのだが、とうとう日が落ちてあたりは暗くなってしまった。

池は神社の奥の方に位置していて、林の中にある感じで木々や草花で鬱蒼としていた。

これで最後にしよう、と二人で餌を針に付けて池に入れたのだが、目を凝らしてもやっと見えるほどで、もう数分もすれば全く見えないものだった。

辺りを見渡すと釣り人は俺達だけになっていて誰もいない。

「おい!頑張れよ! 坊や!」

後ろからお兄さんの声がしビックリした。

二人で同時に振り返ってそのお兄さんを見たのだが、夏だというのに学生服のような服装をしていた。
そして「ハイ!」と返事をした。

とうとう暗くてウキは見えなくなり、諦めなければならなかった。

帰り支度をしながら後ろを振り返ると、先ほどのお兄さんがまだそこに立っていた。

姿格好が変わっているのが気になったのだが、その時は家に帰ることで頭がいっぱいだったので、気にも留めなかった。

帰り支度をして神社の鳥居門のある方に進むと、その途中に大きな銀杏の巨木がある。
その銀杏の木の近くで、たくさんの人々が日の丸の小旗を手に持って「万歳!万歳!」と言っている。

薄暗いので顔などは見えないのだが、大人の人たちが大勢居たのは確かだった。

子供ながらに気持ち悪い思い出が残っていて、二人ともその後はその神社には行っていなかった。

その日は家に帰ると母親に叱られたのだった。
彼も同様に叱られたようだった。

その後は二人とも大学進学で実家を出ることになった。
母親がお祖母から聞いた話では、あそこの神社は戦時中に戦争に行くお兄ちゃんに送り出す場所だったと、聞かされたらしい。

酒を飲みながら「あれはヤバイよな、あんなことあるのかな?」と二人は同じ気持ちでいた。

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