昨日の夜、新宿区の某所をふらついてたら、やたら背のでかい、コートを着た女と、まだ小学校低学年くらいの女の子が、並んで立っていた。
最初親子かな?と思ったのだけど、よく見ると、それにしては様子が少し変だった。
女の子の方は、泣いているのだろうか、手を目に当てながらうつむいていた。
そして、デカい女の方は、ずーっと「この子どこの子?この子どこの子?」って首をきょろきょろしながらつぶやいてた。
俺はその様子が気になってなんとなく眺めていたんだけど、そのうち警官がやってきたみたいで、女の子だけを保護していった。
例のでかい女の方は、ぼけーっと女の子が警官に手を引かれるのを黙ってみていた。
数分後、その女の子が、母親らしき人と、さっきのでかい女と三人で並んで歩いていた。
女の子は母親に手を引かれ、すっかり安心しているようだった。
デカい女は相変わらずぼそぼそっと何かつぶやいてた。
「かいの子かいのどこ行くの?かいの子や」とかなんかそんな感じの言葉だった。
当然のように、母娘の会話に入ろうとしながら、並んで歩いていた。
ずっと不思議だったのは、女の子にしろ警官にしろその母親にしろ、むしろ通行人の誰一人として、その女の存在が見えていないようだった。