夏に友人と海水浴に行ったとき小さな民宿に泊まった。
風呂上りに缶コーヒー飲みたいなと思ったが自販機もない小さな宿。
まあ外に出れば自販機ぐらいすぐ見つかるだろうと、歩いて宿のまわりを探してみたんだけどこれが全くねーのよ。
んで同じような小さな宿が数件並んでるんだけど、しばらく歩くと自販機どころか街灯もなくなって漆黒の闇。
古い民家がぼんやり見えるんだけど、その一角を見て心底ぞっとした。
白い浴衣が家の横で揺れてる。
浴衣を着た人が立ってるとは思いたくなかったので「あれは洗濯物だ」と自分に言い聞かせて早足で宿に戻った。
宿に戻って女将さんに自販機の事を聞いたら、案外近い別の方向にあったんだけど、それがまた真っ暗闇の道の先でボーっと明かりがついた廃墟みたいな自販機コーナーで中に入るのもめちゃくちゃ怖かった。
とにかく急いで缶コーヒーを買い込んでまた走って宿に戻った。
んでそろそろ寝ようかと電気消したら窓をコツコツと叩く音がして友人と同時に飛び上がった。
宿は二階だったし顔を見合わせたが、またコツコツと音がする。
恐る恐るカーテンを開けたがもちろん誰もいない。
音の原因もわからない。
不思議にじっと外を見てたらあの自販機が二階から見えた。
その瞬間、自販機に千円札を入れた事を思い出した。
ビビッてお釣りを忘れてきてる・・・。
仕方なく友人と走ってお釣りを取りに行ったらちゃんと残ってて、すごい怖かったんだけど親切なオバケなんだなって思った。
窓叩かれてあの自販機見なかったら気づかなかったと思う。
まあ窓の音も怖いから何かが当たった音と思いたいんだけどね。