引っ越した新居には何かがいる

カテゴリー「心霊・幽霊」

先日、私は新居に引っ越しをした。

その家は、2階建てで寝室が3つ、バスルームが2つ、庭はフェンスで囲まれていて、大きなキッチンが備え付けられた素敵なお家だ。

家の前の庭には、大きな木が植えられていて、ベッドルームを道路から覗かれることもない。
蛇口の水の勢いも良好で、クローゼットは広々としており、フローリングも新しい。

ただ一つだけ問題があるとすれば、それはお隣さん家族がいくらか騒がしすぎるということだ。

私の家とお隣さんの家は連なった構造になっていて、私の家のリビングとキッチン、それから寝室の壁の一枚ずつを、お隣さん家族と共有している。

そのせいで、一日中、隣からはドアを開け閉めする音や、テレビの音、赤子が泣く声が聞こえてくるのだ。

少し気に障ることもあるけれど、耐えられないほどではない、と私は思う。

それよりも最近、もっと気になることがあった。

ある朝、私がシャワーを浴びていた時のことだ。

普段、私はシャワーをしている間は音楽を流しているのだが、その日はなんとなく静かなままでシャワーを楽しもうと思った。

シャワーを流し始めてからしばらくはなんともなかった。

しかし、髪を洗っている最中に、壁の向こうから突然隣人の話し声が聞こえてきたのだ。

何を喋っているのかは分からなかったが、どうも様子がおかしい。
ぼそぼそと何かを喋ったり囁いたりしていて、時折静かに笑っているみたいだった。

どうしてこんなにも小さな声が、私のシャワー室にまで聞こえてくるのかまったく分からなかった。

私は、隣人たちが不自然なくらいに壁に顔を近づけて会話している光景を思い浮かべた。
そうでもなければ、シャワーの最中にこんなにはっきりと声は聞こえないだろうと思われたのだ。

それから一時間経って、仕事に行く時間になるまでの間、その出来事については深く考えなかった。

私が、車に乗ろうとドアを開けた時、私は何かを忘れている気がして、家の方を振り返ってみた。

寝室の窓を見上げたその瞬間、シャワー室の壁の反対側は隣人の部屋ではなかったことに気が付いた。

その壁の反対側は、私の寝室からつながるクローゼットだった。

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