昔、実家の近くに長い一方通行の道路があって、ほぼ道路沿いの住人しか使わない道なんだが、その途中に道路に面して、他とは独立して周囲が広い駐車場になってる3階建ての家があった。
自分はチャリで友人の家に行くときその道使ってたんだが、あるとき気づいたんだよ...。
その家、どこにも入り口がなくて、駐車場側からみると塀で囲まれているし、道路側は入り口が見当たらない。
近所の人の話だと店舗も兼ねてたようで、もう閉めていて一階は何もない倉庫になってることはわかったが、それにしても2、3階は窓もないし、まず入り口がないので居住できるようにも見えないし、表札もポストもないので、人は住んでないなと勝手に思ってた。
が、ある日の夜、そこを通ったら一階に入り口が出現してるのが見えて、ふと止まってしまった。
一階の壁しかなかったところに、縦の長方形のような形の真っ黒な空間があって、街灯はないから暗いんだけど、その部分は更に暗いから際立ってた。
しかも不思議なことにそこにはドアらしきものはなく、一瞬入り口かと思ったけど、何なのか目を細めて確認してたら人が出てきた、と言うか人じゃなかったわ。
その黒い空間から、突然ぬっと沸いたように、体と顔が曲がった生きものが出てきた。
いや、性格には人間なんだけどなんと形容したらよいか。
超びっくりしたけど周りに人や車がいたんで怖くはなかったのよ。
具体的には、体が足腰の問題?で横向きに傾いてて、首も同じく、そして顔も歪んでる人だった。
そこの住人らしい。
ドアは内側からのみの、取り外し可能的な感じなんだろうか。
謎が分かったけど、知らなくてよかったよっていう話。