ある日、家に帰ってくるとカレーの臭いがした。
今日はカレーかー、とか思いながら自分の部屋に行こうと階段に足をかけたところで、台所からお袋の声がした。
「おかえり、カレーもう出来てるからすぐに降りてきなさい」
んー、と生返事をして階段を何段かのぼったところで気付いた。
お袋は二年前に死んでるし。
今の誰!?
慌てて階段をおりて台所に行ってみたら、誰もいない。
隣の居間も無人。あと、階段から台所の間にあるのはトイレ。
やっぱり誰も入ってない。
そして、ガスコンロの上には出来たてのカレーが入った鍋。
食べたら懐かしい「お袋のカレー」だった。