私の母方の一族にまつわる話です。
私の幼少期の記憶と後に聞いた話を纏めてあるので推測が入りますが気にしないで下さい。
私の母方の家系はA県のM神社の宮司家の分家筋に当たる家系。
分家したのは何百年も前で、分家したばかりの頃は湿地帯の干拓をやって土地を増やしていた。
おかげで、母方の一族は大地主だった。
農地解放で資産の大部分を失ったとはいえ先祖伝来のお宝や資産が多くある。
宝は景徳鎮やら屏風、書画、先祖が使っていたであろう宝飾品で飾られた簪・櫛、屋敷内にあった神社(区画整理の関係で今は隣にある)に奉納した刀、合戦に持っていく武具etcだ。
蔵に納められていたが、例外のものもあった。
そのなかに細工を凝らしまくった銅鏡があった。
いつも厳重に封がされた箱に入れられて神棚の隠し扉にいれていた。
この鏡は一種の呪物らしい。
土地を干拓するときは最初に家と神社を建てる。
家は住処だから当然だが、神社は湿地帯を干拓するにあたり、干拓を邪魔する「モノ」(「穢れ(けがれ)」と呼んでましたので以後そう呼びます。)を押さえつけるために建てるのだそうだ。
ところが「穢れ(けがれ)」はどういうわけか神社を建てるだけでは足りなかったらしく、干拓作業中に人が突然奇声をあげて死んだり、猟奇的な殺人をしたらしい。
そこで先祖は特殊な鏡を用いて穢れ(けがれ)を封じたらしい。
この鏡は広範囲から「穢れ(けがれ)」を吸い集める性質がある。
そのため持ち主の周囲は穢れ(けがれ)に触れることになる。
ハッキリいってありがたくない代物だが捨てるともっとヤバイので、何人かの親戚は同じ様に鏡をもって神棚に母の一族と縁ある神様たちと祀っていた。
この鏡を勝手に捨てたりしないように鏡の持ち主の家と監視役の家で近親婚を繰り返してた。
私の父方は監視役の家で、鏡の持ち主に何かあった場合、監視役の家の者が養子としてその家に入って跡を継ぐことになっている。
そして私の父はそうだったのだ。(監視役の家は比較的緩いですが鏡の持ち主の家系の近親婚は相当に酷いです。)
私の母は鏡の持ち主の家の出身だった。
母には弟が2人居たが、私の叔父の一人は息子(私の従弟)が産まれて間も無く妻である叔母と従弟を連れて失踪したのである。
理由としては鏡を受け継ぎたくなかったからなのだろう。
鏡は「穢れ(けがれ)」を集めるため周囲を蝕む。
母や母の年の離れた弟である叔父が病弱なのはそのためだ。
だが誰かが祀らなければ土地に災いが降りかかる。
母の実家と叔父の妻の実家は親戚たちに吊るし上げられ、捜索したが行方不明。
結局、私の父が母の実家に入り、暫く母が母方の祖父母と鏡を祀る事になった。
その頃、私には弟が居て父方の魔除けを施されていた。(父方の家系は加護だか呪いだか不明なものが憑いている)
これが影響を及ぼしたのか弟はアレルギーが酷く喘息持ちで親戚たちの中でも特に病弱だった。
両親としては藁にも縋りたい毎日だったのだろう。
だがそんな日々が突然終わった。
母方の曾祖母が亡くなって一年ほど過ぎた頃である。
何者かが空き巣に入り神棚を破壊して鏡を盗んでいったのである。
母の実家だけでなく鏡を持つ家が次々と空き巣にあい鏡を盗んでいったのである。
それから間も無く行方不明の叔父夫婦が連絡を入れるようになり、父は実家の都合で母と私達姉弟を連れて実家に帰った。
その後親戚たちに多くいた病弱な者たちは快癒に向かい病弱だった私の弟も今ではインターハイに出場しているなど健康そのもので母の実家は行方不明だった叔父が継ぐ事になっている。
だが、鏡が盗まれてから少しずつだが近隣では猟奇的な事件や不審死が起きてる。
鏡の影響が無くなったためなのかもしれない。
両親は父方の家の加護だか呪いだかわからないものが鏡を盗ませたと思っているが今の私は叔父を疑っている。
というのも叔父が現在勤めている会社は在日に乗っ取られている企業に勤めている。
叔父が彼の国のものに漏らしたのだろうと・・・。
鏡の持ち主全ての家から鏡が盗まれたが、鏡の持ち主の家のなかには私の父方の家と長らく婚姻関係が無い家もあったし、近所の寺にあった高名な仏師が彫った仏像やその寺が預かっていた呪物が盗まれたのもその頃だった。