この話は東京の西の方で広がった話です。
ある中学校に通っている男の子がいました。
その中学校へ行く途中には、古いトンネルがありました。
その子はいつも違う道を通るのですが、その日は学校に遅刻してしまうからと言って自転車で、家から学校までの近道となるその道を通る事にしました。
そしてトンネルの近くまできました。
その子は、「ああ、あそこ気味がわるいんだよな・・」といいつつ仕方なく入る事にしました。
そのトンネルは地面が今の様なコンクリートではなく、ジャリ(石など)が敷き詰められていました。
男の子はトンネルの中へ入りました。
するとトンネルの真ん中あたりまで来た所でしょうか・・・。
急に自転車のペダルが重くなりました。
「え?なんで・・・」
そう思っていると・・・どんどん重くなりました。
その子は、思いきりペダルを漕ぎました。
それと同時に地面の小石が飛びました。
カシャンッ!!・・
何か倒れたような音がしましたが、気にしないで学校に行く事にしました。
そして、その帰り、部活ですっかり遅くなってしまい、帰りもそのトンネルを通っていく事にしました。
「そういえば何で朝ペダルがおもくなったんだろう?」と思いましたが、早く帰りたかったので自転車を走らせました。
そして、トンネルの中へ・・・。
すると今度は、何もなくふつうに自転車を走らせていました。
しかし、何か音が聞こえます。
変だなとは思いましたが気にしないで走らせます。
「オギャア」
自分のすぐ後ろで声がしました。
男の子は、恐る恐る後ろを振り返ると、血まみれの赤ちゃんが背中に張り付いていたのです。
「うわああああああああっっ!!」
男の子は自転車ごと倒れてしまいました。
そして目をやったそこには慰霊碑がありました。
それに供えてある缶ジュースが倒れていました。
男の子はそれを直して沢山謝りました。
そうするとそこにはその赤ちゃんは消えていたそうです。
その子は大急ぎで家へ帰りました。
するとお姉ちゃんが言いました。
「ねえ、それどうしたの?」
え?と思い服を脱ぎました。
すると、ちょうど背中の部分のところに赤い小さな手形がベタベタとたくさんついていました。
後から聞いた話では、そこは戦争時代の防空壕で沢山の人が死んでいったそうです。
その中でも飢えで死んでいく赤ちゃんが絶えなかったそうです。