絶対に使いたくない部屋

カテゴリー「心霊・幽霊」

※長文です。

これは2年前、当時中学3年生だった時の出来事。
父親の仕事の関係で茨城にある筑波市という所に引っ越した。
正直3年生のこの時期に転校なんて最悪だと思っていたけど、仕事では仕方ないと半分気分は落ち込んでいた。

そんな俺の気分を更に落としたのがボロクソな引越し先の家。
初めて訪れた時は長い掃除の幕開けと覚悟をした。
庭はお菓子やら何かの袋のゴミが散乱していて酷い状況だった。
更に驚いたのが、庭に面している家の窓ガラスが割れていたこと。
おいおい、ここの管理者は何してるんだ・・・と溜め息が出た。

しばらく庭を見ていると2階から父親の声がした。

父親:「おーい和也(俺の名前)車からゴミ袋持って2階に来てくれ」

そう言われてゴミ袋を持って玄関へと入る。
入った瞬間感じたことだけど、この家・・・あまり好きになれない。
もう直ぐ昼になるってのに家の中は薄暗かった。
それ以前に雰囲気的に嫌な感じがしていた。

玄関から正面は階段になっていた。
廊下を真っ直ぐ進んだところには台所とリビング。
もう一つは居間のようだ。

2階では母親と父親それと弟が片付けてるのか、ガサガサと音が聞こえていた。
ちなみに俺の家庭は4人家族だ。
2階に上げって行くと3人で片付けをしていた。

父親:「よし、徹底的に綺麗にすんぞ、お前もやれよ」

嫌な顔をしながら下に落ちているゴミをか片付ける。
しかし本当に汚い。
以前住んでた奴だろうけど、よくこんなにも汚せたもんだ。
冷凍食品の袋やら、カビの生えたうまい棒らしきお菓子。
本当に最悪だ。

ゴミを拾いながら進んでいくと突き当たりに着いた。
ん?左の壁に目を向けると、壁の一箇所に異様なまでにガムテープが貼られていた。
壁は壁なのだが、辺りの壁と見比べると色が白い。
というか部屋なのか?
白い部分は、まるで扉がそこにあったかのように形作られていた。
間取りから見てもそこは部屋がある場所と一致している。
何で扉の部分を埋めてしまっているのだろうか?

俺:「ねえ何でここ入れないようになってんだ?」

俺が問いかけると父親が来た。

父親:「なんだこりゃ?まいったな~こんな話聞いてないよ」

父親はブツブツ言いながら携帯を取り出して、階段を下りていった。
父親が下りていって直ぐ弟が来た。

弟:「どうかしたの?」

俺:「ここの部屋、扉が塞がってんだよ」

弟:「え?これ扉なの?すげー」

弟は珍しい物を触るかのように壁を触っている。
すると弟が壁の真ん中のガムテープへと目を移す。

弟:「なあ兄貴、ここに貼ってあるガムテ緩くね?」

マジで?とガムテープの部分を触ると少し凹んだ。

俺:「もしかしてこの部分壁になってないのかもな」

弟:「剥がしてみっか」

弟は壁に貼ってあるガムテープを勢い良く剥がそうとしたが、滅茶苦茶に貼られてるせいか少し剥がれて途中で切れてしまった。
だけど剥がした部分に少しだけ穴が見えた。
どうやら本当に壁にはなっていなくて、ガムテープで穴を塞いでるようだ。

穴を見た弟はもう一息とばかりに残りのガムテープを引き剥がす。
小さく露出していた穴はどんどん広がっていき、全てのガムテープを剥がし終えた時には直径50cm程の穴が姿を現していた。

弟:「なんだここだけ入れるようになってるじゃん。中どうなってんだろ」

穴の中を覗く弟。

弟:「うわ~すっげー真っ暗だ何も見えない」

俺:「窓から光差し込んでないのか?」

俺は弟をどかし中を覗く。
中は確かに真っ暗だった。
1つの光もなく、ただ暗闇だけが中に広がっていた。
そこへさっき下りていった父親とこの家の管理人がやってきた。

父親:「お前達なにしてるんだ、何だこの穴?」

弟:「ガムテ付いてたから、剥がしたら穴が開いてたんだよ」

父親:「なんだ穴まで開いてるのか・・・柳さん(管理人の苗字)これ事前に話してくれないと困りますよ」

柳:「ほ・・本当に申し訳ないです・・・・・・・」

柳さんは謝ったあとすんなり黙ってしまった。
妙なことに穴の方を見ようとしてない。
表情からは怯えてるようにさえ見えた。

柳:「あ、ああのこの部屋の対処を考えたいので、下に移ってもらってもいいですか?詳しいことは下でお話します」

父親:「そうですね。このままじゃ困りますし、部屋が使えないんじゃ不便ですし」

そう言って2人は1階に下りて行った。

俺は気になる事があったから1階に下り外に出た。
気になるのはさっきの塞がれてた部屋の窓側だ。
部屋があると思われる外側に行ってみたが、不思議なことに部屋の窓のような部分は見当たらなかった。
だけど窓があったと思われる箇所はあった。
あそこも塞がれてるのか、周りの白黒い壁と違って白い色がはっきりとしていた。

5分くらい経って玄関から柳さんと父親、母親が出てきた。

柳:「本当に申し訳ありませんでした。工事はこちらで頼みますので、日程が決まり次第報告いたします。では失礼します」

父親・母親:「お気をつけて」

俺:「話ついたの?」

父親:「ああ。とりあえずあの壁壊して、部屋を普通に使えるようにしてくれるってさ。費用も向こうが負担してくれるし、まあ言うことなしだな」

弟:「うわああああ!」

ドタドタドタドタ
突然弟が叫びながら階段を物凄い勢いで下りてきた。

母親:「ちょっとなに?大声なんか出して」

父親:「おい!周りに迷惑だろ」

弟:「2階の真っ暗な部屋・・・何かいる・・・」

弟は怯えた顔でそう言った。

弟:「中に入ろうとして顔を中に入れたんだ。そしたら奥の方からなんか這いずるような音が聞こえて、なんだろうと思ってしばらく聞いてたんだけどなんか変で・・・」

母親:「ねずみか何かじゃないの?そんなに怯えるようなことじゃないでしょ」

弟:「違うんだよ!ねずみとか動物とかそんなんじゃない、なんかを引きずってるような音なんだよ」

母親:「大き目の動物が迷い込んだのかもね。それとあの穴塞いでおかないと、あなたお願いね」

父親:「わかった。まあ気にすんな、大きなねずみが住み着いてんだろ」

弟:「・・・・・・」

弟はもう話しても無駄だなと言わんばかりに車の中へと閉じこもってしまった。

俺は興味が沸いたので、懐中電灯を持って2階へと行って穴の中を覗いて見た。
一筋の光が真っ暗だった部屋の中を薄く照らす。
中は荷物やダンボールの箱でいっぱいだった。
耳を澄ましてみるが、弟の聞いたような引きずる音は聞こえなかった。

こうしていると不気味な気分になってくる。
2階には自分しかいないことを思いだす。途端に寒気がした。
階段から父親が上がってきた。

父親:「何してんだ?」

俺:「ちょっとねずみ見てみようかと思ってね」

父親:「中はどんな感じだ?」

俺:「普通。物置みたいな感じだったよ」

父親:「ってことは、工事が来たら荷物の処分もしなきゃ駄目か。はぁ・・大変だな。しかしなんだって前の人はこんな風にしちまったのか。窓や出入り口まで塞いじまうなんてな」

確かな疑問だ。
物置なら物置でそのままにしておけば良いのに、わざわざ塞ぐ理由がわからない。
部屋が1つ多いぐらいで別に困ることもないと思うんだが。

そんなことを考えてる内に、父親は壁の穴を布とテープで塞いでいた。
塞ぎ終えると父親は1階へと下りていった。
俺も1階へ行こうとした時、穴の方を無意識にチラ見してしまった。

あれ?・・・・なんか変だ。

布の部分が膨らんでる?父親は真っ直ぐピンと張っていたはず。
かすかに動いてるようにも見える・・・・。

全身に鳥肌が立ち始める・・・何かが・・何かがまるで穴から出ようとしているみたいだ。
俺は怖くなって急いで1階へと下りた。

リビングへ向かうとだいぶ片付いていた。
そこで部屋を決めることになった。
話し合いの結果、父親と母親が1階の居間、俺と弟が2階の部屋となった。
本来なら2階に2部屋の予定で、俺と弟は別々の部屋の予定だったが、もう一つの部屋があの状態なので、工事が来るまでの間我慢ということになった。
しかし弟が2階は絶対嫌だと言って聞かないのだ。
あまりにも拒否するので、仕方なく2階のもう一つの部屋が空くまでリビングが弟の仮部屋となった。

俺とはそんなに嫌なのかとも思ったが、聞いたところ昼の一件で2階が怖くなったとのこと。
小学5年にもなって何を言ってるんだとも思ったが、弟の気持ちはわからなくもない。
俺も昼間のあれは流石に見間違いと思いたくなるほどだ。
そう考えた途端、また2階へあがるのが怖くなっていた。

俺まで文句を言っていては仕方ないので、部屋の荷物を片付けるため2階へと向かう。
しかし夕方になると2階がとてつもなく暗く感じる。
階段の下で見上げて見るが凄く怖い。
今にも上から幽霊とかが下りてきそうだ・・・。

俺は一段ずつ階段を上っていく。

しだいにあの穴が見えてきて、俺は確認してみた。
やはり膨らんでいない。
じゃあさっき見たのは気のせいなのか?
気にしないでおこう。
きっと引越しで疲れてるのかもしれない。
俺は恐怖を紛らわすために無理矢理そう思い込むことにした。

俺の部屋の整理が終わって、俺はベッドに寝転がった。
疲れていたせいもあって俺はそのまま寝てしまった。

ザザザザ・・・ッゴザザザザ・・・・ッゴ

浅い眠りのなか、廊下の方からの音に気づいた。
目を覚まして時計を確認すると18時を過ぎていた。
部屋が真っ暗で、それに廊下からの音にビビって、俺は急いで部屋の電気を点ける。

ザザザザ・・・ッゴ

音はまだしている。
廊下のドア越しに耳をつけると、やはり廊下の奥の方で音がしてるようだ。
距離からすると恐らくあの穴の開いてる場所付近だ。

ザザザザ・・ッゴ

引きずってる?いや、何か引っ掻いてる音な気がする。
弟が言っていたのはこのことなんだろうか?
2分ぐらいして別の音が入った。

キ・・キキ・・プツッ・・・

そんな感じの音が混じってきている。
俺は怖かった。
なんせこの音を出しているのは家族の誰でもないとなんとなく察していたから。

プツプツッ・・・

もしかして!?
俺は一気に冷や汗をかいた。
なんとなく音の正体がわかった気がした。

テープだ!
テープが壁から剥がれる音。

得体の知れない何かはテープを剥がしてる。
それから恐怖の時間が始まった。

俺は部屋からも出られない状況に陥っている。
家族はたぶん1階にいるだろうけど、恐らく上がってこないだろう。
俺はとても恐怖した。どうすれば良いのかがわからない。
ただじっとその音を聞くしかなかった。

そして最悪な恐怖が俺を襲った。

バサッ

何かが床に落ちた音。
それも薄く軽い物が、たぶん壁に貼ってあった布が落ちたのだろう。

ギギ・・・ギィ・・

床がきしむ音とサーという這うような音が聞こえてきた。
言い知れない恐怖が全身を包み込む。

目には涙が溜まっていた。
こんな経験は初めてだったから。

それに、それが得体の知れない何かという現実が更に恐怖を煽っていた。
そいつの這う音は着実にこちらに近づいていた。

俺はある決断をする。
それは大声を出すことだ。
大声をだせば1階にいる家族が気づいて2階に上げって来てくれると思ったからだ。
いざ声を出そうとしたが、果たして1階に家族がいるのか不安になってきた。

もし出かけてていなかったら?
その場合俺は今廊下にいる何かに自分の居場所を教えるようなものではないだろうか。
いやもしかしたら既に相手にはわかってるのかもしれないが・・・。

もうなりふり構ってなれなかった俺は、渾身の叫び声で「うおおおおおおおおおお!!!」と叫び続けた。
廊下の音も聞こえないぐらいの声が家中に響く。
肺の中の酸素をこれでもかというぐらい使い切り俺は叫んだ。

息があがっていた。
叫びが止んで廊下に耳を澄ますと、音はしてなかった。
そこへ階段を上がる音が聞こえてくる。
俺はその音だけで安心していた。

ガチャと扉が開き、そこには怒っている父親が立っていた。

父親:「おまえ何時だと思ってるんだ。近所に迷惑だろ」と、頭をガツンと叩かれた。

だがそんな父親の怒りより、俺には廊下の音の方が怖かった。
父親と一緒に1階へと下りる最中、ふと穴の方へと目がいった。

布が取れていた・・・。
俺は父親に布が取れていることを伝えると、父親は「あれ?何でだ?」と言いながら布を貼り直した。
やっぱり何かが出てきたことを俺は確信した。
この家には何かいるのかもしれないと思い始めた。

晩ご飯の最中、俺はさっきの出来事を話してみた。
だけど父親や母親は冗談だと思ってるらしく、ただ笑っているだけだった。
だが唯一、弟だけは聞きたくもないかのように顔を下に向けている。
俺は昼のことが気になった弟は、音が聞こえただけにしては凄く怯えてるようだったからだ。

晩ご飯が終わると、俺は弟に昼に2階の穴で何があったのか聞いてみた。
弟は嫌な顔をして話したくないの一点張りだったが、俺がしつこく聞くと弟は重い口を開いて言った。

弟:「兄貴が1階に下りて行った後、俺さ、穴の中に顔入れて中を確かめようとしたんだよ。中はもちろん真っ暗で何も見えなかったんだけどさ、次第に奥から音が聞こえ初めてさ、俺も最初はネズミか何か動物かと思ったんだけど、何て言うか、そんな感じじゃないんだよね。それでしばらく聞いてたんだけど、廊下の薄明かりで見える範囲に突然・・・・」

弟はそこで黙ってしまった。

俺は突然なんだよと聞くと、

弟:「・・・・手らしき物が見えたんだ・・・・・それで怖くなって、急いで下りてきたってわけ・・・」

俺はかける言葉もなかった。
いや、言葉が出てこない。

そんな話を聞いてしまった俺は、さすがに夜は部屋に戻る気にはなれなかった。
親を説得して弟と同じリビングで寝かせてもらうことにした。
正直その夜はぐっすり眠れなかった。
今も2階で得体の知れない何かが潜んでると思うだけで、これからの家での生活が憂鬱になった。

次の日朝ご飯を食べ終え、俺は学校へ行く準備をしなければならなかった。
今日は転校初日で大事な日。父親も車で一緒に行くことになってる。
いざ準備をしようとして俺は気づいた。
制服も鞄も部屋にあることを・・・。

俺はどうしようかと迷ったが、恥を承知で弟に怖いから一緒に来てくれと頼んだ。
弟は仕方ないとばかりに俺の後をついてきてくれた。

階段を上がり穴の方を見てみる・・・布が落ちてる。

もしかしたら父親が貼り直したのが弱かったのかもしれないが、俺は何かがまた出てきたんだなと思っていた。
穴を見た弟は怯えていた。
俺は直ぐに部屋へと入り、必要な物をまとめてリビングに置くことにした。

その日は無事に学校も終わり、俺は地図片手に家へ帰ってきた。
玄関に入ろうとしたが鍵がかかっている。
もしかして誰もいないのかなと気分が暗くなった。
母親はたぶん弟の迎いに行っているのかも。

仕方ないと合鍵で玄関を開く。
家の中は静まり返っていた・・・。

俺は急いでリビングにいき電気を点ける。
テレビをONにし音量をなるべく上げた。
2階へはまったく行く気がしなかった。
もしかして今も2階のあの穴の部屋に何かがいるのだろうか?それで俺の帰ったのを知ってるのか。
そう考え始めるとどうにも恐怖に負けてしまう。

ソファーに座りテレビを見ていると眠気が襲ってきた。
俺は寝てれば時間が過ぎてそのうち親も帰ってくるだろうと、寝ることにする。
もちろん静かなのは嫌なのでテレビは点けっ放しだ。

ガン!
その音で俺は目を覚ました。

辺りは真っ暗だった。
点いていたテレビも何故か消えている。

俺:「お母さん?・・・」

一言そうつぶやいた。
あまりにも小さい声で・・・。

どうやら家族はまだ帰っていないらしい。
窓から入る薄明かりを頼りにテレビのリモコンを取るが、電源が点かない。どうやら停電のようだ。

でも妙だ。
周りの家は停電してるわけではなかった。
俺の家だけ?と疑問に思いながら、さっきのガンと言う音はブレーカーの落ちた音だと理解した。
しかしブレーカーが落ちるほどの電気は使っていないと思っていたんだが、故障かなにかだろうか。

このままでも仕方ないので、とりあえず玄関にあるブレーカーを見に行くことにした。
それに真っ暗なままでは怖すぎる。

リビングを抜け廊下へと出る。
廊下はかなり暗かった・・・・・何より怖いのが、玄関に行く途中に2階への階段があること。
俺は音を立てないようにゆっくりと足を踏みしめる。

ゴッ

俺:「!?」

俺は一瞬びくっとなった足が廊下に置いてあった荷物に当たったのだ。

嫌な静けさが俺を包む・・・。
ようやくブレーカーの所まで辿り着く。
スイッチを上に上げるが・・・まったく点かない。俺は完全に混乱した。

なんで点かないんだ?
ズズズ・・・

その時上の方で小さく音がした。
聞き覚えのある音。

ギィ・・・ギィ・・ザザザ・

何かが這う音と這いずるような音・・・
それは確実に上から聞こえる音だった。

あの穴だ!
俺はもう動けなかった。
何故か座り込んでしまって、まったく動く気になれない。

ぺタ・・・ぺタ・・
音が近づいてくる。なんとなくだけど階段を下りてるような気がした。

俺はただひたすら階段の方を見ていた。
というか見るしかできなかった。
足や歯がガクガク震える・・・。

ぺタ・・・

階段の5段目ぐらいに何か黒い物体のような物が見えてきた。
そいつは人なのかわからないが、手のような物が確かにあった。

俺の目は焦点を合わせられなくなっていた。

目が回る・・・
吐き気も・・・
心臓がバクバクと・・・・

そこで俺の記憶は途切れた・・・。

目が覚めたとき俺は2階の部屋で寝ていた。

夢だったのか?
それならそれでありがたいと思った。
部屋の外ではないか機械音がしている。
部屋を出ると、穴のあの壁を工事業者の人達が壊していた。
何か俺の中でものすごく安心したのを覚えている。

家族に話を聞いたところ、俺は玄関の所で倒れていたらしい。
見つけたのは母親で、びっくりした母親が救急車を呼んだらしいが、別に俺に何の異常もなかったようだ。
父親もその後急いで帰ってきてくれたらしく、部屋に運んだのは父親だそうだ。
その後いろいろと昨日のことを聞かれたが、俺は話す気にはなれなかった。

穴の部屋は壁が壊され、窓の方も塞がっていた壁を取り壊し光が差し込むようになっていた。
部屋の中は子供用の玩具や絵本が散乱していた。
どうやら子供部屋だった感じみたいだ。
部屋を改装してからは不思議とあの音は聞こえなくなっていた。
弟もすっかり平気になったみたいで、俺と一緒の部屋で寝るようになった。

だけど改装したとはいえ、あの部屋を使う気にはなれなかった。
俺が中学を卒業すると同時にあの家を引っ越した。
結局あれが何だったのかは今となってはわからない。

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