私が高校を卒業し、家を出た19の頃の話です。
当時、居酒屋社員をしていた私は板前さんと不倫関係にあり、二人の逢瀬は仕事が終わり帰宅する2時以降に私の部屋でお酒を嗜むのが日課でした。
私の住んでいたアパートはエレベーターもなく、暗い感じで近隣に人が住んでる雰囲気がありません。
一応住んでたとは思いますが、たぶんそうとう少なかったと思います。
後に火事で非難した住民を見て「少なっ!!!」と思った程。
間取りは2LDKでしたが、なんじゃこりゃ??っていうような小さな部屋(畳3枚分くらい)が1カウントされた部屋の2LDKです。
その部屋の広さなどから使い勝手も悪く二段ベッド(下がクローゼットタイプ)を置いて完全な「寝るための部屋」にしてました。
その部屋はとても小さいのに窓が鉄格子であり、押入れには天袋がありました。
窓があるにも関わらずその部屋は日中でも薄暗く昼間睡眠をとる私には打って付でした。
仕事を終え帰宅し彼が来ます。
日本酒を飲んで彼が作った小鉢を晩酌に他愛ない話をし、二人でベッドへ。
はしごのギッギと軋む音。
いつもの事です。
早朝の6時頃、彼はひとりで起床し帰っていきます。
ギッギ・・・。
鉄製の重い扉がガチャっンと閉まる音。
鍵を閉めてく音をベッドの中から一人で聴いてました。
一時間くらいたってたでしょうか?
しばらくして玄関の鉄製の鍵をガチャガチャっといじる?開錠する音が聞こえました。
「あ~、彼、戻ってきたわ~・・・・」
眠たいので確認せずそのままベッドで横になってる私。
襖をスーーッと開けはしごを上ってくる音。
ギッギ・・・。
「どうしたの?」と聞こうとすると声が出ない、起き上がろうとすると体が動かない。
慌てた私は金縛りに遭ってる認識ができずただ怖くなった。
しばらく気持ちは暴れてたと思う。
目蓋がやっと開いたところで見たものは私の足元にある、はしごを上ってそこで私を見てる小さな小太りのおじさん。
どうみても私の彼ではない・・・。
目蓋が開いたが相変わらず動かない体。
小太りのおじさんは掛けていた私の布団をめくり、脚を撫で回した。
すると内股に手をかけ両足をこじ開けた。
「犯られる!!!」
そう思った私はやっと出た声で「アンタ誰?」と、小太りおじさんに問うと、おじさんは鼻にかかったような声で「エロオヤジ!」と言って消えて言った。
消えたと同時に動けるようになり、すぐベッドからおり玄関の鍵を確認したが施錠はされていた。
窓は開いていたがどの部屋の窓も鉄格子が付いている。
ベランダも鍵は閉まっていた。
結局気持ち悪い話だったのでこの部屋はそれ以降クローゼットとして以外使うことはなかったが、それでも襖が開いててあの部屋が見えること自体気持ち悪かった。
友達がたまに部屋へ来ると「その部屋なに?」みたいに襖を指差して聞くので「エロオヤジの部屋」と答える際にこのエピソードをするのだが笑われて終わりだ。