中古カーナビは危険

カテゴリー「心霊・幽霊」

8年くらい前の体験を書いてみるよ。
中古車屋で店長をやってるダチがいるんだけど、そいつから中古のナビを安く買ったんだ。
ちゃんと名の知れたメーカーの後付けでダッシュボードに乗せるやつ。

何でも軽自動車を若い店員が買い取ったけど、あとでダチが中を見たら、外はきれいに直してるけど、中はフレームまでいってる事故車でちょっと売り物になりそうもない。
どうせ数万で買ったもんだから部品を取れるだけとって廃車にするってことで、その車についてたナビをゆずってもらった。

当時の俺の車は買って7年目になる国産のSUVで、それまでナビは使ったことがなかったから、かなり嬉しかった。
最初のうちはちょっと案内の音声が乱れることはあったけど、特に機能面での不具合もなかった。
例えば「三百メートル先、交差点を左です」という女の人の声の最後のところが「でにゅぅ」という感じで低くなる。
でもそれくらい何でもないと思って気にしなかった。

それで、自分の家の住所を入力して仕事であちこち出かけるたびに帰宅モードで案内をさせてみた。
別にナビがなくとも帰れるんだけど、まあ遊んでたんだな。
ところがしばらくして、このナビは俺んちの南側にある大学の横の交差点を絶対指示しないことに気がついた。

その交差点の道路はどっちも何十年前からあるんでデータが古くて認識できないとかじゃないと思う。
だけど、なぜかその交差点に入る前に左折や右折を指示して遠回りになってしまうんだ。

で、2、3回はナビの言うとおりに走ったけど、バカらしいから無視してその交差点を通ったんだ。
そうしたらその交差点に入る十メートルくらい前になって、違う道を指示していたナビの液晶がブラックアウトした。
うんともすんとも言わなくなって、故障かと思ってたら、交差点を過ぎてまた十メートルくらいしたら液晶が少しずつ赤黒く明るくなっていって、元に戻ってまた道の指示を始めた。
何かその交差点を機械が嫌がってるような感じでちょっと不気味だった。

それから何度かその交差点を通ったんだけど、ナビの症状は同じだった。
で、ある日会社から県外に出てかなり遅くなって帰ってきた。
夜の2時過ぎで小雨が降ってたな。

疲れてて早く家に帰りたかったんで、その交差点の道を通ることにした。
車通りはあまりないところで信号は黄色の点滅になってた。
ナビはいつもどおりブラックアウトしたけど、徐行して走り抜けようとした。

すると人影なんかなかったはずなのに、気づいたら目の前に自転車の女の人がいる。
とっさにハンドルを右に切ったんで車は対向車線を越えて右の歩道に乗りあげた。
あまり慌てたんで、自転車を轢いたかどうかも覚えてない。

で、車外に出て確認したんだけど、何にもない・・・。
ただ濡れて街灯に照らされた路面があるだけ・・・。

キツネにつままれた感じで、釈然としないまま車に乗り込んだら、消えていたナビがぱっとついて、液晶にモザイクがかかったように崩れた女の人らしい顔が現れ、ナビの音声で「・・・私はここで死んだんでにゅぅぅぅぅぅぅ」と。

俺はエンジンだけ切って、車をそこに置いたまま家まで逃げて帰ったよ。

次の朝早くダチに連絡して、その場所に来てもらってナビを外してもらった。

ダチは、「このナビつけてた軽、そうとう大きな事故起こしてたみたいだね。廃車にするまで店の前に置いてたけど、雨の日に車の横を通りかかったら、かすかに血の臭いがするんだよ。俺たちにはわかるんだ。このナビもなんかあったんだろ。言わなくていいよ知りたくないから。」と言った。

その後は特に何もないけど、その交差点は通らないようにしてる。

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