高2の夏、イギリスでホームステイをしてた。
同じ学校から8人参加していて、日本に帰る前日はロンドンの結構立派なホテルに泊まった。
2名1室で隣同士の部屋、離れた階の部屋、さらに離れた階の部屋の4室に分かれることになり、自分と同じ部屋になったAさんは、一番離れた部屋の鍵をもらって部屋に向かった。
数年経った今なら、家具の配置なんかが心理的によくなかったのかなぁ、と思うのだが、当時はドアを開けて部屋を見た瞬間、綺麗なんだけれど、よく分からない気持ち悪さがして何だかそわそわした。
まぁそんな事をAさんに言うのも気を悪くさせるだろうし、黙っておいた。
まだ夕方だったので、Aさんと「今からどっか遊びに行ってゴハン食べて帰ってこようか」と決めて、それぞれ着替えたり、色々と支度をしている最中、ふいにAさんが「ねぇ、この部屋なんか気持わるくない?」と言ってきた。
私も黙っていたもののずっとその事が気になっていたので、二人で「やっぱりー!?」と一瞬盛り上がった。
この体中が少しだけ緊張しっぱなしの、そわそわ感。
そして原因のわからない気持ち悪さ。
そんなに広い部屋でもないし気になるので、二人であちこち見て回った。
部屋に入るドアを開けて正面は2つの窓。
ドアのすぐ右側には、頭をドア側(廊下側)にしてある二人分のベッド。
それぞれの枕元にサイドボード。
その上にランプ。
全て廊下側の壁にぴったり引っ付けた配置になっている。
ドアから左側には、半身を映す横長の鏡。
これで一部屋。
鏡の向こうに、バルルームのドアある。
まず二人でバスルームを見に行く。
何故だかさっきまでの気持ち悪さがなくなり、「あれ?そんなに・・・だねぇ?」「お互いに思っていたことを口にしてスッキリしちゃったんじゃないのー?」なんてチョット笑いながら、さっきまで居た部屋を振り返った瞬間、ものっっすごい嫌な空気を感じた、さっきまで以上の。
どちらが言ったのかも覚えていないけれど、「早く、出かけよ・・・」となり、黙ったまま部屋を後にした。
廊下に出るまで慌てなかったし、走らなかったし、謎のパニック状態でもキャーキャー叫ばなかった。
それをしてしまえば、頭のどこかでバカバカしいと思いたい、説明のできない恐怖を認めてしまう気がして。