幼馴染のちょっとしたオカルト話。
幼馴染は昔から直感が鋭かった。
例えば、いつも遊んでる公園に遊びに行こうと話してたら、「今日は行かないほうが良い気がする」と。
翌日、学校の先生からその公園で遊具が壊れて大怪我をした子がいると言われた。
またある時、一ヶ月先の休みに皆でプール行く予定立ててたら、「その日は止めといたほうがいいと思う」と・・・。
実際その日はプールで事故が起きて、子どもが何人か亡くなった。
またとある遊園地に行った時、「このジェットコースター、乗っちゃダメだよ」と。
そして一週間後、そのコースターが壊れて人が亡くなった。
プールとジェットコースターはニュースで何度もやっていたので、知ってる人も多い事件。
幼馴染はそんなことを小さい頃は気にせず言っていたが、大人になってくると根拠のない勘は気持ち悪がられる、場合によっては犯人と間違われることもあった。
そのせいで幼馴染はそういったことを言わなくなった。
ただ、例えば中に何入ってるか解らない福袋とか、くじ引きとか、「これ、欲しいのが入ってる気がする」という。
そう言って買うものはほぼ確実にその通りになってたので、直感はずっと働いてたみたい。
ある日、幼馴染は俺に「お祖母ちゃんが呼んでるよ」と言ってきた。
お祖母ちゃん家まで結構距離があったので、面倒くさくて会いに行ってなかった。
暫くすると幼馴染は指を三本立てて言った。
幼馴染:「タイムリミットまであと3日」
その時はなんのタイムリミットかわからなかった。
そして3日後の午前2時、幼馴染から携帯に電話があった。
『お祖母ちゃんがさよならって、犬連れて行くねって言ってたよ』
それから少しして、家の電話が鳴った。
お祖母ちゃんが脳内出血で倒れて亡くなってた。
丁度午前2時の出来事だった。
それから更に3日後、お祖母ちゃんの家で飼ってた病気の犬が急死した。
たぶんお祖母ちゃんが連れて行ったんだと思う。
幼馴染にその話をした。
幼馴染:「船には三人まで乗れるから気をつけて」
なんの事かわからなかった。
それから二日後、登校しようと駅に行ったら、幼馴染が待ち構えていた。
幼馴染:「今日は学校に行かないほうが良い」
何か思いつめた表情で、疑問が浮かぶより先に幼馴染の言葉を受け入れて、学校は休んだ。
俺の親は厳しくて、理由なく学校を休むことは許さないので、幼馴染とそこら辺の店があくまでマックで時間を潰すことにした。
その時に、幼馴染になぜ学校に行ってはダメなのか聞いたら、無表情に「顔が潰れる夢を見た」と返された。
そして本来なら学校につくであろう電車に乗っているとき、その電車で問題が起きた。
たくさんの死者がでた。
新聞にもニュースにも大々的に載っている。
幼馴染がいなかったら、俺も新聞の一面を飾った一人になっていたはずだった。
ニュースを見て幼馴染はボロボロ泣いていた。
直感が働くときは、何か解らない不安が胸に押し寄せて、怖くて怖くて仕方ない。
悪いことが起こるのはわかるのに、それが何か解らない、どうしようもない。
幼馴染が昔言ってきたこと。
幼馴染:「例えば君が過去に戻れるとして、阪神淡路大震災が起こることは判っているよね、それを世間に伝えるためにはどうしたらいいと思う?」
こんな問いかけをされた時期があった。
俺は答えられなかった。
幼馴染はそんな問いかけをずっと自分にしてたのかと思うと、幼馴染がとてつもない孤独と戦っているように思われた。