◯◯が死にました

この話は俺が中学の頃聞いた明治か大正時代の話。

ある大きなお店に丁稚(でっち)として働いていた『延松』という人がいた。
※丁稚=職人・商家などに年季奉公をする少年

『延松』は真面目に働いて、おかみさんや主人から可愛がられていた。

ある日、盆も近いということで『延松』に休暇をやり、帰省させることにした。

『延松』も喜んでおかみさんや主人に礼を言い、自分の実家に帰省した。

その夜の事。

店もしまい昼の疲れもあってか、おかみさんは床につくと、いつのまにかすやすやと寝入ってしまった。

しかし、おかみさんは急に夜中に目が覚め、胸騒ぎがしてたまらない。

目の前の空間は自然と右手の廊下を仕切っている障子に行き着き、ずっとそれを凝視していた。

すると音も無く、すーっと障子が開き、なにやら黒い人のような形をしたものが部屋に入った。

黒い人影は「すすー」っとおかみさんの寝ている布団をぐるりと回り、おかみさんの上半身あたりで止まった。

そして「『延松』が死にましたーー。」とこの世のものとは思えない低い声でおかみさんに言うと、来たときと同じように「すすー」っと音をたてずに廊下のほうへ去っていった。

その後2時間おきくらいにその黒い人影はやってきて「『延松』が死にましたーー。」と言ってきたという。

夜が明けおかみさんは主人にそれを報告し、すぐに『延松』の帰省先へ使いをやった。

その後、『延松』の遺体が実家近くの崖の下で発見されたという。

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