ヌートリアの惨殺死体

カテゴリー「不思議体験」

「ああああああああ!!!これやああああああ!!!」

突然の親父の大声に家族一同がギョッとした。

俺:「どうした親父、あまりの安月給についに狂ったか!?」

親父:「ちゃうわ、これ見てみぃ!」

話を遡る事20年ほど前、親父は某巨大湖にて恐怖体験をした。
俺は物心ついた時から親父にちょくちょく恐怖体験を語られキャッキャッと怖がりながら布団をかぶって寝たものだ。

その話の内容とは・・・。
まあ正直言って初めて聞かされた頃とその後とでは年代が重なるごとに内容がスケールアップしていったのは言うまでもないw
まあとりあえず親父の話を忠実に思い出しながら書いてく。

親父談:
某巨大湖にて友人の善ちゃんと夜釣りに行ったときのことだ。
ウェーダー履いて腹まで水に使って釣ってたんだよ。
そしたらさ、時刻は深夜1:00頃、どこからともかく「カーン・カーン」と何かを打つ音が聞こてきた。

夜中だけあって音がよく響いてな、どこかで丑の刻参りをしてる阿呆がいるようだが俺らは無視したんだ。
丑の刻参り自体はうちの近所でも頻繁にあったからな、別に珍しくも怖くもなかったんだがな、さらに時間が経って善ちゃんが「あかん、眠さも限界や」と車に戻ったんだよ。

「カーン・カーン」と相変わらず音は響いていてよ、さすがに一人だと薄気味悪かったな。

でよ、そのうち「カーン・カーン」って音も収まってよ、あたりは一瞬静寂だけの世界になったんだ。

その音が収り少し経った頃、俺の後ろの葦で「カサカサ・・カサカサ・・」って音がしだしたんだ。

野犬かなぁ、いやだなぁ・・とか思ってたんだがその音はどうも複数あるみたいなんだ。

俺はヘッドライト点けて葦まわりを見たんだ。でも葦が濃くて奥の方がよく見えない。
気持ち悪いから移動しようとしてな、足を踏み出したその刹那、何かに足をとられて転んだw

安物のヘッドライトは浸水してオシャカになっちまってな、このときばかりはケチらずにダイワの防水ヘッドライトにしときゃよかったと思ったよ。
体勢立て直して葦の方見ると何かがいる。なんだありゃ?と思って月明かり頼りに目を凝らしてよーーーーーーく見るとヌートリアが泳いでた。

なあんだ、犯人はあいつかと一人苦笑いしてたら俺の周りから「うひゃらうひゃらwwwwひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃwww」って子供の笑い声が聞こえてきたんだよ、それもかなり近い距離で複数!

え?と思って後ろを見渡すと、俺を囲むように水面から何かがヒョコってたくさん出てるんだよ。
10個くらいあったかなぁ、それが水面から出たり入ったり出たり入ったりしてやがるんだ。

なんて言ったらいいかな、電柱の太さくらいある坊主頭の棒ぽい何かに囲まれててよ・・・。

「うひゃらうひゃらwwww」

「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃwww」

て笑いながら徐々に距離を詰めてくるんだ。
ありゃ絶対人間じゃないし、ヌートリアみたいな動物でもない、間違いなく「お化け」とか「妖怪」の類だな。

ヒョコヒョコと出たり入ったり出たり入ったりしながらな、そう高さは最大60センチくらいはあったかな。

そいつらある一定まで近づくと「わうわうわうわうわうwww」ってより甲高い笑い声にかわってよ、さすがの俺も小便ちびって逃げ出したんだ。

そしたらよ、そいつら追ってくるんだよ。

「わうわうわうわうわうwww」

「うひゃらうひゃらwwww」

「わうわうわうわうわうwww」

「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃwww」

って笑いながらよ・・・。

なりふりかまわず悲鳴あげながら逃げたよ、ああこれが逃げずにおられようかね!
でもアカンかった。
俺の逃げてる方向にも坊主頭の妖怪が・・・。

万事休す、俺は腹をくくって釣竿握り締め戦う覚悟を決めたんだよ。
そしたらよ、「うおおお!?なんじゃこいつら!?」っていう叫び声!
声の方角を見ると善ちゃんが!

それと同時に坊主頭の棒妖怪が一斉に姿を消し静寂が戻った。
善ちゃんに助けられて俺らはとにかく車まで戻ってな、それで着替えて車の中で朝を迎えた。

それから水辺に様子見に行ってみると、体の大部分が無くなっているヌートリアの惨殺死体があった。
恐らくあの棒妖怪の仕業だろうと思ったよ。

でな、俺と善ちゃんは思ったんだが、あの棒妖怪は魔界とか霊界とかから召喚された妖怪とかじゃないかなぁってな。
そしてあの「カーン・カーン」って音は藁人形打ってる音じゃなく召喚の儀式かなんだろうって。

とにかく、おまえも水辺で「カーン・カーン」って音が聞こえたときは気をつけるんだぞ、聞こえたらすぐ逃げるんだぞ!

まあ大体こんな感じの話だった。

そして現在、居間でノートパソコン開いてYoutubeを見ていた親父が「ああああああああ!!!これやああああああ!!!」と、突然の親父の大声に家族一同がギョッとした。

俺:「どうした親父、あまりの安月給についに狂ったか!?」

親父:「ちゃうわ、これ見てみぃ!」

・・いったい何が?

そこには「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃwwwわうわうわうわうわうwww」と、奇声とも笑い声ともとれる鳴き声と水面からヒョコヒョコと出たり入ったりしてる何かの影像が・・・。
そしてそいつは集団で巨大なワニに襲いかかり食い殺してしまった!

その正体は・・・。

オオカワウソ?

子供のような声と可愛らしい顔に似合わぬ残虐性・・・。

親父:「これや、間違いない!あんときの棒妖怪やぁ!」

俺:「これが親父の言ってた棒妖怪?」

親父:「おう、これこれ!オオカワウソやったんかい、ビビらせやがってw」

なあんやオオカワウソやったんかぁ、魔界から妖怪を召喚とか恥ずかしい妄想しおってからにwww
それから親父は善さんに報告してくるとか言って飲みにいった。
俺はオオカワウソをネットで検索してみた。

そしたら「オオカワウソ」(Pteronurabrasiliensis)は、哺乳綱ネコ目(食肉目)イタチ科オオカワウソ属に分類される食肉類。本種のみでオオカワウソ属を構成する。

分布:エクアドル東部、コロンビア、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビア、パラグアイ、ブラジル南部

生態:流れの緩やかな大型河川、湿原などに生息する。昼
行性。

あれ?日本にいない?昼行性?

・・・・・。
・・・。

親父よ、あんたが見たのは本当にオオカワウソだったのか?

それとも・・・。

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