トンネルのむこうから

小学生のときの話です。
当時通っていた小学校の敷地内脇に、森への遊歩道があって、休み時間や放課後などは学校の生徒が遊んでたりしてました。

その遊歩道の端に地下水道のトンネルがあって、トンネルに「おーい!」と叫ぶと『おーい!』と綺麗にこだまになって声が反ってくる場所があり、入り口に牢があって堅丈な錠がしてあった。

その頃学年では化石が流行っていて、近くの森にある沼で化石が見つかるというので、春休みにみんなを出し抜こうと友達の邦也と二人で道具をもって掘りに行くことになった。
そしてスコップやらシャベルを持ち出し、沼の水辺の土を掘り返したりして化石を探していた。

しばらく探すと飽きてきたのか、邦也が森のほうへフラフラと歩きまわるようになった。
そして邦也が駆け足で、「おい!面白いの見つけたっ!」と言い戻ってきた。

森の奥へは”立ち入り禁止”と書かれ、ロープが張ってある。
理由は梅雨時になると雨でけっこう地盤沈下を起こす場所が出てくるからだ。
でもそんな都合を見ない小学生二人は奥へ進んで行った。

マンホールがあったが蓋が空いている。
周りが金属の柵で覆ってあるが、マンホールの蓋がズレているのを確認した邦也が、先に蓋をずらしていたらしい。
暗い入り口が見え言わずもがな。邦也は急ぎ家に懐中電灯を取りに行った。

ものすごくワクワクした。
柵を乗り越え、マンホールの中へ慎重に降りて行く。
こういうときはマンガの主人公になった気分で、”何か”の始まりみたいな感覚だった。
梯子を降りてくると、真っ暗だった。

懐中電灯で照らすと中はさほど高さのないトンネルで、下はチョロチョロと少しの水が流れてるだけだった。
水の流れのあるほうへ進んで行った・・・・・・。

ただの真っ暗やみが続くだけ、それでもしばらく進んで行った。

邦也が突然「おーい!」と叫んだ。
すると・・・『おーい!』と反ってきた。

「!?」何となく考えていたことだけど、このトンネルは学校の遊歩道の場所と繋がってるんじゃないかと思った。

邦也もそう思ったらしく、二人で「おーい」「ヤッホー」「誰かいますかー」とか騒ぎながら進んで行った。

遠くに明かりが見えてきた。
明かりに近づいていくと出口に牢があるのが見えたので、やっぱり遊歩道の場所だと確定した・・・・・・牢の向こうに誰かが立ってる、「おーい!」と叫んでいた。

邦也と二人して、近づいて驚かそう自慢しようと笑っていた。

『おーい!』

邦也が「なにー?」と反す、面白くてしかたなかった。

『おーい!』『おーい!』

もう少しだ!驚くぞと思った、でも・・・・・牢の向こうで叫んでたのは、邦也とオレ自身だった。

尚も『おーい!』と言ってくる、二人共愕然としていた・・・。

『おーい!』『おーい・・・・・・・・・・反せよ』

二人して走った!

でも『おーい』『おーい』『おーい』『おーい』『おーい』『おーい』『おーい』『おーい』『おーい』『おーい』『おーい』『おーい』『おーい』

声が追っかけてくる!
一生懸命走った!

出口にまで戻った邦也とオレは憔悴しきって家に帰った。
そして春休み中の明くる日に別の友達に、邦也の家は引っ越して行ったと聞いた。

そんな予定は聞いてなかったのに・・・。

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