後輩の話。
彼は林道をバイクで走破するのを趣味にしている。
ある日、ある山奥の廃道を走っていると、行く手に太い木が倒れているのが見えた。
「やれやれ、スピードを出していたら転倒するところだった」
バイクから降りると、障害物をどけるため手を掛けようとしたが、突然、倒木はビュッと飛ぶように移動した。
そのまま下生えの中に突っ込み、あっという間に見えなくなった・・・。
低木がガサガサと揺れ、何か長い物がその下を移動していくのを教えていたが、それもすぐに静まった。
呆気にとられたが、我に返るとバイクに飛び乗り、全速力でそこから逃げ出した。
「どう見ても木だったんですけどね。枝も伸びてたし。アレって何だったんでしょう?」
本当に驚いたという顔で、彼は首を傾げていた。