小4の時の話なんだけど、同居してた爺さんが失踪してさ。
実家で禁句になってるから本当の理由は何なのか今でもわかんない。
母親が宗教やってて爺さんは普通の仏教だったのかな?
実家には宗派の違う仏壇が1階の和室と2階の爺さん婆さんの部屋にあったんだよね。
爺さんは失踪前に自分の部屋にあった仏壇を車庫に持っていって車庫にあった、でかいハンマーで壊してから出ていった。
ハンマーを振り下ろす姿を婆さんは爺さんにバレないように後ろから必死に手合わせて念仏唱えてたって話を当時してたな。
それが失踪の原因に関係あるのかなって今になって思うよ。
それから失踪して1週間ぐらい経った時だったかな。
爺さんの遺体が北海道の夕張の山奥で見つかった・・・。
夕張ってのは昔、炭鉱で栄えた街で爺さん婆さんと親父が初めて福岡から北海道へ越した土地で、爺さんにとっては思い出深かったのかもしれない。
通夜、葬式と終えて数日か数週間経った時だったと思う。
夢に爺さんが出てきて山奥の舗装されていない砂利道を自分と手を繋いで歩いていた。
道端には綺麗な花が沢山咲いていて木々の間から見える空はすっきりと晴れ渡っていた。
しばらく無言で爺さんと歩いていると爺さんが突然「○○はここで帰れ・・・」と力無く言い出した。
いきなり帰れと言われて訳もわからず咄嗟に「お爺ちゃんはどこ行くの!!?」と聞くと、爺さんが能面みたいな顔で自分を見下ろしてこう言ったんだ。
お爺ちゃん:「地獄じゃ・・・地獄・・・」
そこで目が覚めて、すぐに母親にその夢の事を話すと「絶対に婆ちゃんに言っちゃダメだからね!!」と、きつく言われた。
糖尿病を患っていた爺さんが注射を持たずに失踪したのが原因で亡くなったのか?
それとも自分に知らされていないだけで爺さんは首を吊っていたのか?
そして無知だった小4の自分が見たあの夢が何だったのか・・・。
今となっては何もわからない。