たまに誰かいる

カテゴリー「不思議体験」

私は小さい頃から見えたり感じたりするのだが、最近は感じるだけの事が多い。相方も見えたり感じたりする人。
でも私と相方の見たり感じたりの波長は少し違うらしく、同じ時に感じたりの時もあれば違う時もある。

これは相方の住むマンションでの話。

相方は猫を飼っている。
相方が仕事が忙しく遅くなる日や出張の時は私がマンションに行ってお世話している。

その日は相方は出張で、いつも通り猫のお世話を終え、帰ろうと部屋の電気を全部消して玄関の鍵を開けようとしていた。
ドアを向いて鍵を開けてたんだけど、突然何の気配もなく後頭部の髪が一束「ふわっ」と持ち上げられた。

「えっ」と思い、バッと後ろを振り向くがもちろん誰もいない。

猫の仕業?と思ったが、猫は離れた窓際にいた。
部屋の電気を全部消しても、カーテンを開け放っているので月明かりや外からの明かりでハッキリは見えないが姿は見える。
ましてや猫が音もなくジャンプして私の後頭部に触れる事は不可能だ。

途端に背筋がゾッとし、慌てて外に出た。

気配を感じる事はあっても、触れられたりするのは久々だったのでかなりうろたえた。

今までも相方の部屋で気配を感じる事はたまにあったが、相方は「たまに誰かいるけど悪い感じはしないから、ごゆっくり、って思ってるとしばらくして消えるよ」と言っていた。

正体は不明だが、相方と私は男性っぽいと感じていた。

その日の夜からだった。
私の家は病人がいて発作に気付かないとマズイので各部屋の襖は開けたまま寝ている事が多いのだが、夜中に誰かがそーっと廊下や私の部屋、母の部屋を歩き回っている足音と気配がするのだ。
もちろん姿は見えない。

翌朝家族に尋ねても誰もそんな事していないと言う。
母のイビキは聞こえていたし、父の部屋から出る時は床が軋んで音がするから出て来たら解るが、その音はなかった。
そんな事する理由もない。

その晩もだった。
4日目位にはなくなり、飽きて相方のマンションに帰ったのかもしれない。

今でも相方の部屋ではたまに気配を感じる。

猫はたまに動きを止め、一点を見つめていたり、何かを目で追っている。

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